以前の発見報告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 09:24 UTC 版)
「ラランド21185」の記事における「以前の発見報告」の解説
上記の惑星候補が発見される以前の1951年に、ピート・ファンデカンプと彼の学生である Sarah Lippincott によって、アストロメトリー法を用いた惑星の発見が報告されていた。彼らはスワースモア大学のスプロール天文台(英語版)の21インチ反射望遠鏡を用いて観測を行った。1960年には再び Lippincott が、過去の観測に同じ望遠鏡を用いた新しい観測データを加えて惑星検出の報告を行ったが、この時は1951年の報告とは惑星のパラメータの値が変わっていた。同時期にこの天文台で観測された写真乾板は、ファンデカンプがバーナード星周りの系外惑星発見の主張を行った際にも用いられたものである。しかし、スプロール天文台の24インチ反射望遠鏡で用いられていた写真乾板での観測結果は、後に欠陥があったことが指摘されている。ファンデカンプらによるラランド21185およびバーナード星での系外惑星の発見主張は、1974年にピッツバーグ大学・アレゲニー天文台の George G. Gatewood による位置天文測定によって否定されている。 1996年に、同じく Gatewood はラランド21185に惑星系が存在する可能性をアメリカ天文学会の会合で報告し、一般紙においても報道された。3つの惑星b・c・dはいずれも木星型惑星か天王星型惑星とされた。主星に最も近い惑星候補b(2017年発見の上記候補bとは無関係の天体)は木星の9割の質量を持ち、恒星から2.2天文単位の位置を円形の軌道で5.8年かけて公転しているとされる。その衛星はトリトンのような岩石と氷で覆われた世界だと考えられているが、もしかしたら摩擦熱などの影響で間欠泉が存在するかもしれない。惑星候補cは木星の1.6倍の質量を持ち、主星から11天文単位の付近に位置し、30年かけて公転しているとされる。さらに外側に木星と同じ程度の質量を持つ惑星候補d が存在するかもしれない。 このデータは他のグループによる追観測が21世紀初頭においても成功しておらず、地上からでは精度が充分ではないアストロメトリー法によるものである事に注意を払う必要がある。コロナグラフを用いた後の観測では惑星の存在に否定的な結果が得られている。そのため、系外惑星の一般的なリストには記載されていない。 2019年の SOPHIE を用いた視線速度観測では、ファンデカンプと Lippincott が1951年に報告した惑星、および Lippincott が1960年に報告した惑星の存在は否定されている。これは、報告どおりの軌道要素や質量を持つ惑星が存在した場合、十分に検出可能なほど大きな視線速度の変動があるはずであるにも関わらず、そのような変動が検出されていないからである。Gatewood が報告した惑星に関しては軌道傾斜角の値が得られないためはっきりしないものの、仮に 45° だとした場合でも視線速度の変動は十分検出可能であり、そのような変化は見られないことが分かっている。 Gatewoodによるラランド21185の惑星名称(恒星に近い順)質量軌道長半径(天文単位)公転周期(日)軌道離心率軌道傾斜角半径b (未確認) 0.9 MJ 2.2 2,100 0 — — c (未確認) 1.6 MJ 11 11,000 — — — d (未確認) 1 MJ >11 >11,100 — — —
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