代替的な食料資源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:03 UTC 版)
食糧危機では、単一ないし固定的な食料供給源に依存している状態で、従来からの食料調達元が利用困難になると、問題が一気に深刻化すると考えられる。このため、食料資源を他の物に切り替えたり、より様々なものを食料資源として流用することで問題を回避しようという考えもある。 昆虫食 いわゆる昆虫食は、郷土料理など古い形態の食文化の中に伝統的に組み込まれているが、これは昆虫食の対象となる昆虫が、良質な蛋白資源として、また比較的繁殖力が強く容易に得られる生物資源であるために利用されてきた。これを食べ慣れない側からするとゲテモノ(奇食)の範疇で嫌悪される場合もあるが、現在食肉を得るために飼育されている草食動物などに比較すると、より少ない飼料で同量の蛋白資源が得られると考えられる。 微生物 食料資源の生産を、微生物で行おうという考えがある。よく知られ食料資源として利用されているものにはクロレラや海苔など藻類があるが、酵母も様々な栄養素を生産できることから注目されている。 1960年代には、石油精製時の副産物であるパラフィンを使い、酵母を培養して得られる石油タンパクの開発も盛んに行われた。 遺伝子工学(バイオテクノロジー) 遺伝子工学を利用することで、より生産性の高い作物を創出したり、あるいは栄養価の高い食料を得ようという考えがあり、この分野では遺伝子組み換え作物など議論の的になることもあるが、安全な食料資源として利用できれば、より大きな恩恵を生むと考えられている。しかし同時に、安全性の面からや生物多様性の問題、あるいは生命倫理など様々な問題を含んでいる。 海洋資源 海は様々な生命が育まれている場所だが、魚類などの多くは標準的な食料として利用されている。このほか、オキアミなど動物性プランクトンも栄養が豊富で、総量的にも生物資源として膨大なものがあり、注目されている。 代替肉 元々はベジタリアンやヴィーガンといった思想信条など(健康上の理由を含む)により肉を食べることを避ける人のための植物由来のタンパク質を加工した食品が主だったが、畜産の環境負荷が大きいことからこれに危機感を抱く層にも注目を集めており、2010年代から徐々に一般にも流通し始めている。このほかバイオテクノロジーを利用し食肉を培養した動物細胞から得ようという研究も進められている。こういった時流以外にも2019年より新型コロナウイルス感染症の世界的流行にも伴い畜肉のバリューチェーンが不安定化、その陰で植物由来の代替肉消費も増えているという。
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