人道的捕殺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 18:05 UTC 版)
日本が電気銛からライフルを中心に切り替える旨を表明し、これを評価する国が多かったため、イギリスなども提案を撤回した。 致死時間の長さの一因について日本鯨類研究所は「年齢測定のために耳垢栓を無傷で入手する必要があり、致命傷を与えうる部位のうち頭部を避けて捕鯨砲を打ち込んでいたため」と説明。その後独自に開発した効率の高い爆発銛の使用により陸上野生動物のケースに劣らない即死率と平均致死時間を達成している、と反論している。 日本鯨類研究所によれば、2005-2006年の調査捕鯨において平均致死時間(銛命中から致死判定まで)は104秒、即死率は57.8%である(抗議団体の妨害を受けていない場合)。ノルウェーが発表した2000年のデータでは、平均致死時間が136秒、即死率が78%である。 日本の沿岸でのイルカ漁についても致死時間が長いとの批判がされたため、フェロー諸島で使用されている技術の導入が図られている。この方法によれば、脳への血流を即時に停止させ、即死に導くことができる。ただし、スジイルカなど一部の種については、水際で激しく動くために適用が困難で、さらなる改善研究が行われている。 最新の食肉用家畜の屠殺においては、専用の道具(主に屠殺銃)および炭酸ガス麻酔法を用いた安楽死が多いのに対し、鯨は専用施設内での殺処理が行えず、致命傷でなければ死ぬまで時間がかかり、動物福祉の観点から非人道的であるとされる。乗組員の安全性(「大背美流れ」など)や人道的視点などからの致死時間短縮は比較的古くからの課題であり、鯨を感電死させる電気銛などの研究が戦前からあった。日本でも1950年代に電気銛の試験が行われ、鯨の即死が確認されたものの、有効射程の短さなど運用上の困難から主力にはならなかった。
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