人工滝騒動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 10:40 UTC 版)
2006年12月14日、毎日放送のニュース番組『VOICE』が、「景勝地に衝撃の事実…箕面の滝は人工滝?」と題して「トンネル工事で大量の水が湧き出し、周辺の川が枯れた」「滝壺に流れ落ちる大量の水は、なんとポンプで吸い上げたもの」「箕面の滝は自然の滝ではなく、人工の滝」と報じた。その後、複数のマスコミが取り上げ、箕面グリーンロードのトンネル工事の影響で箕面滝が人工の滝になったとの風評が広がった。 箕面グリーンロードは、湧水をポンプにより送水して箕面川に放水しているが、放水ポイントは箕面滝から3.4キロメートル離れており、箕面川に複数ある支流の1つに過ぎず、その間には治水ダムである箕面川ダムがある。箕面川ダムは、毎秒0.08立方メートルから0.14立方メートルの水量を一定に放流する流量調整を行っており、箕面グリーンロードの放水ポイントにおける放流量は毎秒0.0182立方メートル(毎分1.09立方メートル)であることから、箕面川ダムの流量調整が大幅に上回っており(流量調整の最低値にも達しない)、箕面グリーンロードの湧水放水と箕面川ダム下流にある箕面滝の水量の関係は完全に否定されている。 先述のテレビ番組に有識者として出演した議員はいずれも日本共産党の議員(堀田文一大阪府会議員・神田隆生箕面市会議員)であり、箕面グリーンロードの建設に反対していた。 先述のテレビ番組では、トンネル本坑貫通後の箕面滝の水量データを示して「水量減少の原因はトンネル工事」としていたが、使用されていたデータは2003年(平成15年)から2005年(平成17年)にかけて降水量が大幅に減少していた期間のものであった。箕面大滝の総水量は年間降水量と連動する傾向にあり、番組で使用されたデータの期間後においては、年間降水量の増加とともに箕面滝の水量も増加している。 箕面市は、正しいデータに裏付けされた放送を行うよう毎日放送に抗議している。 上島一彦大阪府議会議員は、箕面の滝を人工滝と決め付けたマスコミ報道は極めて不適当であり、地元の観光事業者が「大切な観光資源である滝のイメージを破壊された」と憤っているとしている。 箕面市長の倉田哲郎は、2014年8月の集中豪雨による箕面滝の増水に際して「滝はポンプを止めれば大丈夫ではないのか」との問い合わせがあったことを明かし、報道から8年経っても箕面滝が風評被害を受けていることや、風評の発生経過及び風評に根拠がないことを自身のブログで解説し、改めて報道の訂正を求めている。 2020年1月23日には、同月21日にテレビ朝日系の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』にてコメンテーターの玉川徹が「取材しましたよ箕面。トンネル掘ったら水が涸れちゃって、少なくなって、滝の水が少なくなったと確か取材した。回復したのかな?」と発言したとして、抗議と訂正を求める報道資料を、倉田哲郎市長の署名入りで公表した。この申入れを受け、テレビ朝日は、同月24日の同番組内において、事実誤認を認め謝罪のコメントを表明した。
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