交流電気車と電動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 14:44 UTC 版)
「電気車の速度制御」の記事における「交流電気車と電動機」の解説
交流電気車は交流電化区間で走行する電気車を指すもので、必ずしも電動機として交流電動機を使用するわけではない。電化方式と電動機の組合せとして、次に示す方式がある。 三相交流を取り入れ、交流誘導電動機を駆動するもの。 初期の電化方式で用いられた方法。三相交流を用いることから電力設備・集電設備が複雑であり、誘導電動機の速度制御が難しかったことから、広く普及するには至らなかった。 単相交流を取り入れ、交流のまま整流子電動機を駆動するもの。 20世紀前半にアメリカやドイツで採用された方式。界磁に電磁石を用いた整流子電動機はユニバーサルモーターとも呼ばれ、直流だけでなく交流でも使用可能である。ただし、周波数の高い商用電力(50Hzや60Hz)では整流不良を起こすため、16 2/3Hz(16.7Hz、50Hzの3分の1)など特殊な周波数で電化が行われた。 単相交流を直流に変換し、整流子電動機を駆動するもの。 1950年代にフランスを中心に実用化された方法。電気車に整流器を備え、取り入れた交流を直流に変換してから、直流整流子電動機を駆動する。電化には商用電力をそのまま使用でき、広く普及した。 単相交流をコンバータ・インバータにより三相交流に変換し、交流電動機(誘導電動機・同期電動機)を駆動するもの。 20世紀後半から用いられる現在の標準方式。可変電圧可変周波数制御(VVVFインバータ)により、三相交流電動機を制御する方法。インバータの動作は直流電源を必要とするため、いったんコンバータにより直流に変換を行う。 ここでは主として、単相交流を直流に変換し、整流子電動機を駆動する電気車について述べる。交流電化では1万ボルト以上の高い電圧が用いられていることから、電動機に適した数百ボルトまで電圧を下げ、さらに直流電動機を駆動するため交流を直流に整流する必要がある。 電化方式交流電化(1万数千ボルトから数万ボルト) タップ制御と位相制御 電動機直巻整流子電動機 定トルク制御タップ制御・位相制御 定出力制御弱め界磁制御 特記事項変圧器による降圧・直流への整流が必要 交流は変圧器を用いて電圧を簡単に変えられる特性を持っており、変圧器を可変として電圧を制御するタップ制御が利用できるほか、波形の一部を取り出し平均電圧を制御する位相制御も可能である。この二つの電圧制御は幅広い速度制御に応用でき、抵抗制御に代表される直流電化に比べ損失が少なく、粘着性能においても有利である。
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