事故の要約と教訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:15 UTC 版)
「テールローターの効果喪失」の記事における「事故の要約と教訓」の解説
強風環境下の背風(追い風)の状態で、放送用ビデオカメラを入港中のアメリカ合衆国海軍の空母/軽空母あるいはヘリコプター専用空母、または強襲揚陸艦(艦種および個艦名は不明)に向けようと、南西から進入し艦艇の檣楼より少し高い程度の超低空で横風の方向から風下への右旋回を2回ないし3回を行った過失により尾部回転翼の効力の喪失 (LTE) に陥り墜落。〔事故機体の死亡したカメラマンの動画解析による〕アメリカ合衆国式のヘリコプターでは、主回転翼の回転方向は、「上からみて反時計回り」のため、尾部回転翼が効かなくなった(2翅の失速が疑われる)ことで、直ちにトルクの影響で右回りに水平面での自転が始まり、角速度は次第に急激化したものと推定される。 本事故のような状況では少なくとも民間機の安全規準では、本来は用務飛行を行うべき気象ではないが、それでも商業上の要請により、“やむを得ず”用務飛行し、このような状況に陥った場合は機首を落として降下速度を対気速度に変換する事が肝要であった。 しかしながら、空母をはじめとする米国海軍の艦艇群を可能な限り近接撮影しようと低空飛行しており、さらに背風状況で「空中静止」(ホバリング)に入ったことで、垂直尾翼、水平尾翼への整流の流入が途絶え、全ての舵が無効化〔あるいは有効な効きが確保されない状態〕していたことで、このような緊急回復操作も不可能であった。 回転翼機は、最も有効な使い方をしている時が、最も危険な状況であり、この命題を機長が依頼者の要求に応じるのみで、機長の権限で適切に処理出来なかったことが致命的な結果につながった。
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