事件報道のエスカレート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 04:15 UTC 版)
「実録三億円事件 時効成立」の記事における「事件報道のエスカレート」の解説
時効成立まで100日を切った1975年秋あたりから、「海外にいる当時18歳の少年が容疑者」「中年のテストドライバーから犯人の手記を手に入れた」「事件そのものが警察の謀略」「七十年安保を前にして、多摩地区に住む過激派学生洗い出しのためのアパートローラー作戦の口実」など、事件の真相と称し、新聞、週刊誌などが洪水のように書き立てて、テレビドラマや芝居、レコードにまで波及した。犯人はスター扱いだった。キワモノ企画だけに、もし12月10日までに犯人が逮捕された場合、時効が成立した場合、原作とまるで違うイメージの犯人が現れた場合など予想がつかないので、いろいろな場合を想定し、差し換えることも検討していた。映画公開前に犯人が捕まるようなことになれば、当然『時効成立』というタイトルは使えず、或いは公開中にまるで違うイメージの犯人が逮捕されたり、映画の内容があまりに的外れの場合は、公開中止や打ち切りされる恐れもありリスキーな映画であった。 三億円事件の発生当時は、小説や映画的発想、庶民の発想からすれば夢や希望がいっぱいの事件だった。ところが時効が迫った数ヵ月前から捜査の経過がジャンジャン公表されるし、小説だけでも4、5本あった。マスメディアから「時効寸前に真犯人が挙げられたらどうするのか心配だね」といわれたが、岡田社長は「封切りまでに手を加える用意をしている。その時にどうするか、そこが東映の変わり身の早さをいかんなく発揮できる」「変り身の早い東映としてキワモノ勝負で負けない、後塵を拝せない」などと豪語していた。坂上順プロデューサーは「捜査の進展によっては脚本の大巾直しも有り得ます。でも時効一ヵ月前がリミットでしょう。直前に逮捕されたら、作り変えるなんて不可能。そのときは全て無に帰することになります。われわれの首も吹っ飛ぶかも」などと話した。
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