九州電力からの分離
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:37 UTC 版)
「九州電力送配電」の記事における「九州電力からの分離」の解説
2013年(平成25年)4月、第2次安倍内閣は、「電力システムに関する改革方針」を閣議決定した。内閣は、この方針のもと、2013年(平成25年)から2015年(平成28年)にかけ、電気事業法の改正案を3回に分けて国会(第185回国会、第186回国会、第189回国会)に提出した。改正案は全て成立し、内閣の方針どおり、電力システム改革が断行されることになった。 電力システム改革により、2016年(平成28年)4月、発電事業は届出制、小売電気事業は登録制となり、発電と小売の分野で今まで以上に新規参入と競争を促す制度になった。一方、競争が実際上不可能な一般送配電事業は許可制とし、九州地方の送配電網は従来どおり九州電力がほぼ独占した。 自由化された発電と小売の分野で様々な事業者が公平な条件で競争するためには、実質的に地域独占の一般送配電事業者が全ての発電事業者・小売電気事業者に対して中立の立場で公平に送配電サービスを提供することが必要である。一般送配電事業者が発電事業や小売電気事業を兼営すると、一般送配電事業の中立性の確保が難しくなる。そこで、電力システム改革では、2020年(令和2年)4月以降、一般送配電事業者が発電事業・小売電気事業を兼営することを禁ずることとなった。 九州電力は、自社の一般送配電事業を100%子会社に移管することにより、一般送配電事業と発電事業・小売電気事業との兼営状態を解消することを企図した。そこで、2019年(平成31年)4月1日、100%子会社に九州電力送配電株式会社を設立し、2020年(令和2年)4月、同社に一般送配電事業を移管した。 九州電力から九州電力送配電を分離するに当たり、料金計算システムも2社に分割する必要があった。2020年(令和2年)1月に新システムの運用を開始して間もなく異常が発覚。復旧作業中にも新たな問題が判明して対策が大幅に長引き、当初は1月13日までの復旧予定であったが、対策完了の発表は5月29日であった。対策完了までに発生した料金の誤請求・請求遅延の総数は約105万件、また対策作業中のミスにより個人情報漏洩も発生した。
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