主な赤外線銀河
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/05 00:56 UTC 版)
Arp 220 天文学者ホハルトン・アープが1966年に発表した特異銀河のカタログ『Atlas of Peculiar Galaxies』の220番目の銀河である。IRAS以前にも、電波を比較的強く発していることか知られていた。しかし、IRASの観測で赤外線を非常に強く放射していることが分かり、注目されるようになった。可視光ではかすかに二重の渦巻きのようなものが観測されることに加え、さまざまな波長により観察されるその形態や2つの核から、2つの銀河が合体しつつある状態と従来から考えられていたが、近年では4つないしそれ以上の銀河が合体した結果ではないかとも言われている。銀河系に最も近い超高光度赤外線銀河で(z=0.018、77 Mpc)、光度の95%以上を赤外線で放射しており、その明るさは太陽の約1.3×1012倍。また、X線による観測結果から、Arp 220は活動銀河核を持っており、放射される赤外線の大きな部分が活動銀河核からのエネルギーに由来していると言われる。 VV340 2つの渦巻銀河のペア(以下、横を向いている方を VV340N 、渦巻きが見える方を VV340S と記す)で、互いに接近しつつある段階にある。赤外線光度は1011.67 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} 。ただし、VV340S単独の赤外線光度は1010.71 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} で、こちらは赤外線銀河の分類には入らない。紫外線の観測から、VV340全体としてスターバースト銀河の特徴を備えているが、生まれつつある星の集団の9割以上はVV340Nに見つかる。また、VV340Nは厚いダストに覆われているため紫外線による発光は弱い。X線による観測から、どちらの銀河も2つの核を持っており、特にVV340Nには活動銀河核があることが分かっている。つまり、VV340の2つの銀河はどちらも合体がすすんでいる銀河であるが、合体の結果が違う様子を見せ、それらの合体銀河同士がさらに合体しつつある状態にあるのである。 NGC 4418 9.7μmのシリケイトの吸収が強く出ていることでよく知られている。赤外線光度は1011.08 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} 。セイファート銀河に似たスペクトルを持っている。ガスやダストで深く覆われており、PAHの輝線がはっきり確認されていない。また、近赤外線で観測しても、生まれつつある星のクラスターを観測することができず、AGNを特徴づける小さな核も観察できないので、発光のエネルギー源が特定できない。中・遠赤外線は差し渡し80パーセクより小さい範囲から発せられている。 ギャラリー・赤外線銀河 NGC1068(1011.27 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) Mrk 231(1012,51 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) Apr 193(1011,67 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) NGC 6621(1011,23 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) Arp 148(1011,61 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) NGC 1614(1011,60 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) NGC 5257/58(1011,55 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) Arp 256(1011,41 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) NGC 3690(1011,88 L {\displaystyle L} ⊙ {\displaystyle _{\odot }} ) ()内は赤外線光度を表す。数値はRGBSカタログによる。
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