世界恐慌時代の文学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 14:19 UTC 版)
世界恐慌時代の文学はその社会批判において無遠慮で直接的だった。ジョン・スタインベック(1902年 - 1968年)はカリフォルニア州サリナスで生まれ、そこを小説の多くの舞台にした。そのスタイルは単純で示唆に富み、読者の共感を呼んだが批評家はそうではなかった。スタインベックはしばしば貧しい労働者階級とまともで正直な生活を送るための奮闘を書いた。おそらく当時の最も社会的に目覚めた作家だった。傑作と考えられている『怒りの葡萄』(The Grapes of Wrath)は、オクラホマ州出身でより良い生活を求めてカリフォルニア州に旅する貧しい家族であるジョード家の話を語る強く社会指向の小説である。その他にも『おけら部落』(Tortilla Flat)、『二十日鼠と人間』(Of Mice and Men)、『キャナリー・ロウ』(Cannery Row)および『エデンの東』(East of Eden)などを書いた。スタインベックは1962年にノーベル賞を受賞した。プロレタリアート派の一部と考えられるその他の小説家として、ナサニエル・ウェスト(1903年 - 1940年)、オリーブ・ティルフォード・ダーガン(1869年 - 1968年)、トム・クロマー(1906年 - 1969年)、ロバート・キャントウェル(1908年 - 1978年)およびエドワード・アンダーソンがいた。 ヘンリー・ミラー(1891年 - 1980年)は、パリで書いて出版した半自叙伝的小説がアメリカ合衆国で発禁になった時に、1930年代のアメリカ文学界で特異な存在となった。主要作品である『北回帰線 』(Tropic of Cancer)と『暗い春』(Black Spring)は1962年までアメリカ国内での販売と出版が認められなかったが、この時点で既にその主題とスタイルの革新性はアメリカの次の世代の作家達に大きな影響を残していた。
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