世界各国の対応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 21:11 UTC 版)
アメリカ合衆国は、2016年7月に象牙の販売を禁止したとしているが、これは州際取引にのみ掛かる規定であり、2019年6月現在、州内取引も含めて象牙の取引を禁止しているのは全米50州中9州に過ぎず、またハンティングトロフィーの取引は容認されている。 EUでは、フランスは2016年に象牙の販売を禁止した。イギリスでも2016年9月に象牙の取引を大筋で禁止する法案が施行されたが、アンティーク業界のロビー活動の結果、1947年以前に製造された象牙製品(アンティーク象牙)は販売できることになったため、新規に作られた象牙製品を「アンティーク象牙」と主張して販売する抜け穴が指摘され、アフリカ諸国から非難されている。[要出典]このように、EU各国の足並みはそろっていないが、EUレベルで象牙取引の全面禁止に至る取り組みが2016年より段階的に始まっており、2017年6月にはEU全域における全形象牙の取引が禁止された。イギリスではウィリアム王子が象牙の禁止のために熱心に活動しており、王室財産である1200点の象牙製品(アンティーク象牙)を全て破壊したいと公言している。ウィリアム王子は、第17回ワシントン条約締約国会議でも基調公演を担当した。 中国は1990年代 から2000年代に経済発展が著しく加速し、かつての高度経済成長期の日本と同様に象牙の需要が増しており、この需要を満たすためにアフリカで象の密猟が増加していた。環境保護団体の環境調査エージェンシー(英語版)によれば、2013年、中国の習近平国家主席(党総書記)がタンザニアを訪問した時、随行していた中国政府関係者が象牙を大量購入、外交封印袋に入れられ、中国まで運ばれたという。2009年の胡錦涛の時代にも、同様のことがあったという。批判を受け、2015年9月25日の米中首脳会談において、中国の習近平国家主席(党総書記)とアメリカのオバマ大統領が、象牙の国内取引を終了するために共同声明を発表。中国の国内市場は—年に閉鎖された。2016年より後の中国は、ワシントン条約締約国会議において象の保護を主張する側に回った。2018年以降の中国では、周辺国における違法取引の撲滅と、日本を含むアジア諸国からの密輸ルートの閉鎖が課題となっている。中国の闇市場では象牙1ポンド当たり1000ドル前後で取引されている。 サハ共和国では象牙の需要の多いアジア向けとしてマンモス牙の輸出に力を入れいる。
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