不振の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/01 09:55 UTC 版)
海上航路との競合 3路線にはほぼ並行するフェリー・旅客船航路があるが、特にまともに競合したのは広島-松山間で、この間を水中翼船は1時間余で結び、年間50万人以上を運ぶ瀬戸内海でも有数の旅客航路であった(いずれも当時)。競合は当初から予想されていたものの、旅客獲得に至らなかった。当時の広島-松山の状況を航路と比較すると次のとおり。 所要時間 高速艇で約1時間に対し、空路では20分と、アクセス所要時間を含めても航空路が有利なはずであった。ただ、航空機は搭乗手続きなどがあり時間的に余裕をみて空港・飛行場に着いておく必要がある。これに比べて、高速艇はギリギリの時間に飛び乗ることもできる。こうした点を考えると、速さによる差がつきにくい距離であった。 運航便数と運賃 航路は1日15往復と、圧倒的に便数は有利であった。運賃でも、圧倒的に航路に軍配が上がった。 アクセス 広島空港(現在の広島西飛行場)は市内からやや距離がある。広島港(宇品港)も市街中心からはやや距離があるが、それでも飛行場よりは市内に近い。加えて、市内電車などがある分、アクセスの選択肢が豊富である。 参考 広島西飛行場〜紙屋町 自動車約30分 宇品港〜JR広島駅 自動車約20分、市内電車約30分 機種選定ミス 旅客船・鉄道に比べて、飛行機は荒天に弱いのにもかかわらず、与圧装置がなく計器飛行もできないEMB110バンディランテスを採用した。その為、気流の安定した高高度の飛行が不可能となり、全区間において、低空有視界運航を余儀なくされた。その結果、居住性・就航率・運航時間に問題を抱えてしまった。 需要の掘り起こしに至らず 大分空港は大分市、別府市内から遠く、需要を掘り起こせなかった。 なお、大分-松山間については、西瀬戸エアリンクの廃止後、大分-伊予間に「スピーダー」という名称の高速艇航路も開設されたが、利用が芳しくなく、まもなく廃止された。松山市への海の玄関口にあたる松山観光港ではなく、同港の南約10kmの伊予港を発着港としたが、松山市内からのアクセスの悪さもあって、こちらも需要喚起には至らなかった。
※この「不振の原因」の解説は、「西瀬戸エアリンク」の解説の一部です。
「不振の原因」を含む「西瀬戸エアリンク」の記事については、「西瀬戸エアリンク」の概要を参照ください。
- 不振の原因のページへのリンク