不倫
『死の棘』(島尾敏雄) 30代半ばの「私(トシオ)」は小説家であり、夜間高校の非常勤講師をして、生計を立てている。妻ミホとの間には幼い子供が2人いる。妻は「私」の日記を読み、「私」に10年来の愛人がいたことを知る。その日を境に、狂気の発作が妻を襲うようになる。妻は、「私」と愛人との交渉のすべてを知ろうと、執拗に問う。「女と一緒に行った場所を全部言いなさい」「あなた、あいつを喜ばせていたの?」「あいつと一緒にお風呂に入ったの?」。妻は精神病院に入院し、「私」も付き添いとして、ともに入院する。
★2.夫の不倫の結果、妻が死ぬ。
『幸福(しあわせ)』(ヴァルダ) フランソワとテレーズは仲の良い夫婦で、2人の幼い子供がいる。フランソワは郵便局でエミリという娘に出会い、愛人関係になる。日曜日、フランソワとテレーズは子供2人を連れてピクニックに出かける。フランソワはエミリとの関係をテレーズに打ち明け、2つの愛を持つことの幸福を語る。しかしフランソワがうたた寝をして目覚めると、テレーズは池で溺死していた。数ヵ月後、フランソワはエミリと結婚する。彼らは子供2人を連れてピクニックに出かける。
『わらの男』(ジェルミ) 機械工アンドレアは、妻と8歳の息子の3人家族で、アパートに暮らしている。彼は同じアパートに住むOLのリータと親しくなり関係を結ぶが、自分の家庭を捨てるわけにはいかず、やがてリータを避け、逢わないようになる。リータはアパートの5階から飛び降り自殺する。アンドレアは妻にリータとの関係を告白し、妻は息子を連れて家を出る。大晦日の夜、妻と息子は帰って来るが、妻は心の中で「私たちは大事なものを失った。以前の生活にはもう戻れない」と思う。
*夫の不倫相手の女が、堕胎手術をして死ぬ→〔堕胎〕1の『ヘッドライト』(ヴェルヌイユ)。
★4.夫の不倫の結果、妻が夫を殺す。
『柔らかい肌』(トリュフォー) 中年の文芸評論家ピエールは、妻と一人娘との3人家族だった。彼は講演に出かけた時、スチュワーデスのニコルと知り合い、愛人関係になる。妻はピエールの不倫に気づき、口論の末、彼らは離婚することになる。ピエールはニコルと結婚しようと思うが、ニコルは彼の求婚を受け入れない。ピエールは妻ともう一度やりなおそうと考え、電話をかける。しかし妻は猟銃を持って家を出た後だった。妻は、ピエールのいるレストランへ向かい、彼を射殺した。
★5.妻と情婦が手を組んで夫を殺す、と見せかけ、実は夫と情婦が共謀して、妻を死に追いやる。
『悪魔のような女』(クルーゾー) 小学校長ミシェルには、妻クリスティーナの他に情婦ニコルがいた。妻は、横暴なミシェルに苦しめられていた。情婦は妻に同情し、2人協力してミシェルを浴槽に沈め、殺してしまう。しかしミシェルは生きていた。すべてはミシェルと情婦が、邪魔な妻を死なせるために仕組んだ罠だった。死体のふりをしたミシェルが浴槽の中で動き出し、立ち上がるのを見て、心臓の悪い妻は発作を起こして死んだ。
★6.不倫願望
『七年目の浮気』(ワイルダー) 結婚して7年目のリチャードは、妻と息子を避暑に送り出した留守に、「浮気の1つもしたい」と夢想する。彼は、同じ共同住宅の階上に住むブロンド娘と知り合い、娘を部屋に誘う。娘は部屋に泊まるが、夜中に管理人がやって来て邪魔が入り、リチャードにも「妻を裏切ってはならない」との思いがあって、結局、娘は寝室に、彼は居間のソファに寝る。翌朝、友人のトムが避暑地から、妻の伝言を持って訪れたので、リチャードは妻とトムの仲を疑い、あわてて妻のもとへ駆けつける。
★7.上司の不倫。
『アパートの鍵貸します』(ワイルダー) 保険会社の社員バクスターは、上司たちの秘密の逢引き場所として、アパートの自室を貸していた。彼が好意を寄せるエレベーター・ガールのフランは、妻子持ちの部長の愛人だったが捨てられ、バクスターの部屋で睡眠薬自殺をはかる。さいわいバクスターがすぐに医者を呼んだので、フランは息を吹き返す。バクスターは、以後は部長に部屋を貸すことを断り、会社を辞める。部長は妻に家を追い出され、フランとよりを戻そうとする。しかしフランはバクスターのもとへ行く。
『夜の河』(吉村公三郎) 京染めの店の娘・きわは、妻子ある大学教授・竹村と知り合い、不倫関係になる。竹村の妻は脊髄カリエスで寝たきりで、病状は重かった。ある時、竹村は「もう少しのことだ」と言う。きわは、病妻の死を待ち望むような思いを、竹村の中にも自分の中にも認めたくなかった。やがて病妻は死に、竹村はきわに求婚するが、きわは彼に別れを告げる。
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