下宿屋・風呂なしアパート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 23:27 UTC 版)
「アパート」の記事における「下宿屋・風呂なしアパート」の解説
最近はあまり見かけないが、かつて学生に多く利用された下宿屋という住居の形態がある。原則として管理者である大家との同居であり、個室として提供される部屋に下宿人が住む形式である。一般にトイレや風呂、台所などの水まわりは共同で、賄いとして食事の提供が行われることもある。家賃は総じて安価である傾向が強い。 なお下宿営業は、旅館業法に規定される宿泊施設であり、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう(旅館業法第2条第5項)。 初期のアパートは、こうした宿所の各部屋に玄関を設け、独立した住居へと発展させたものと考えられる。1950年代から1960年代に多く建てられた玄関共有、内廊下、風呂なし(銭湯を利用)、共同トイレ、台所、洗濯場という形態である。古いものでは郵便箱なども共同で、各々の部屋はあくまでも個人が寝たりくつろぐ場所に過ぎない傾向も見られた。 こうした古いタイプの共同住宅に関しては、漫画では松本零士の大四畳半シリーズ(『男おいどん』など)にも登場する。福谷たかしの『独身アパートどくだみ荘』はまさにこの種のアパートが舞台となっている。昭和中期より活躍している漫画家には、当時の漫画はあまり儲からなかったため、下宿やアパート生活経験者も少なからずいる( → トキワ荘)。昭和末期でありながら漫画「陽あたり良好!」に登場する「ひだまり荘」のような描写もあった。 また、日雇い労働者たちの寄せ場のある地区にはドヤと呼ばれる簡易宿所も多く見られる。そのほとんどは2〜3畳程度の個室で、かつてのアパートの特徴を備えているところも多い。 2005年に前後して、地方から手ぶらで首都圏に仕事にやってくる人が安価に泊まれるところとして、ふたたびこうした宿が注目を浴びている。ネットカフェや個室ビデオ店の延長として、レストボックスと呼ばれるビルの一室をゲストハウス風に改造した施設も誕生している。「あくまでも事務所貸し」として宿泊を認めないところもあるが、朝日新聞が2005年7月11日に報じたところによると、従来よりオフィス街でブルーカラー労働者の通勤範囲外で労働者空白地帯だった所に、ビル清掃・解体工事など一定の労働力確保を必要とする業者が、自社で管理する空きビルのフロアに多段式ベッドを入れるなどして簡易宿泊施設に改装、労働力の獲得に成功しているという。
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