上弦の月を喰べる獅子とは? わかりやすく解説

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じょうげんのつきをたべるしし〔ジヤウゲンのつきをたべるシシ〕【上弦の月を喰べる獅子】


上弦の月を喰べる獅子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/01 00:58 UTC 版)

上弦の月を喰べる獅子』(じょうげんのつきをたべるしし)は、夢枕獏SF小説、幻想小説。

1986年から1988年まで『SFマガジン』に連載され、1989年8月早川書房から単行本が刊行された。1989年の第10回日本SF大賞1990年の第21回星雲賞日本長編賞を受賞する[1]

内容

この世に存在するあらゆる螺旋を集める「螺旋蒐集家」である三島草平は、ある日、現実ではありえない螺旋の階段を目にしてそれを上りはじめる。また、若き日の宮沢賢治は、北上高地で巨大なオウムガイの化石を発見する。2人は時間を超えて融合してアシュヴィンとなり、異世界へ来てしまう。

アシュヴィンは兄妹であるダモンとシェラと出会い、さらに誰も見たことのない蘇迷楼(スメール)の山頂を目指すことになる。山頂でアシュヴィンは問答を繰り返し、自分が何であるかを知る。

遍路譚の中に、仏教思想とヒンドゥ的宇宙観を挿入した広大なスケールの作品。「アシュヴィン」の名もアシュヴィン双神に由来している。

絵画

単行本の表紙等には細密画が描かれており、この小説の題名は中身とは別にこの絵画の画題から取られた。この絵画「上弦の月を喰べる獅子」は、インド人の現代女性画家であるガンガー・デーヴィー英語版によるもの。

この絵画の題名は、画家本人の命名ではなく、音楽バンドタージマハル旅行団の元メンバーで、現在は新潟県十日町市にあるミティラー美術館の館長を務める長谷川時夫が命名したものである。絵画の「上弦の月を喰べる獅子」は、北インドネパールの一部の伝統絵画技法である「ミティラー画」の風景画に属するとみられる。

画家によれば、中央に居る獅子はメスで、腹中には月を呑んでいるではなく、子を宿しているのだという。これを月に言い替えたのは、命名者である長谷川が月見が好きだからという理由らしい。

この絵画も、人間の一生を動物に擬態させて描いており、ヒンドゥー教の影響が色濃い秀作である。

関連作品

  • 上段の突きを食らう猪獅子
    作者本人の筆によるセルフパロディ作品。哲学的な遍路を描いた本作の内容を、筆者の愛するプロレスなどの格闘技に置き換えたもの。こちらも星雲賞を受賞している。
  • 天元突破グレンラガン
    シリーズ構成の中島かずきが「螺旋」というテーマを扱うに当たり、小説版のあとがきなどで名前を挙げていた。中島は「キマイラ」の帯文を書いたり対談を行ったりと、夢枕獏とは交流がある。

脚注

  1. ^ 大森望・三村美衣『ライトノベル☆めった斬り!』NTT出版、2004年12月24日第1刷発行、263頁。ISBN 4-87233-904-5 



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