三冊の著作について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 08:56 UTC 版)
山根は生涯に三冊の本を公開している。そのうちの1冊は経済数学 (Yamane (1968))、他の2冊は統計学 (Yamane (1967), Yamane (1973))に関するものである。標本理論(Yamane(1967))に関する著作を除いて、他の2つの書名には、入門的な分析(An introductory analysis)、初等的なサーベイ(An elementary survey)といった用語が副題として含まれているが、学部向きの入門書として基礎的な知識を学ぶとともに、大学院レベルの専門的な知識や分析力を身につけることが可能になるようになっている。例えば、Statistics 3rd edition (Yamane (1973)では、確率空間や確率測度、ポアソン分布やχ2乗分布といった統計学の入門書では取り扱わない事柄についても詳しい説明がなされている。回帰分析の説明ににおいても行列を用いた記述をあえて行い、系列相関やダービン・ワトソン検定などについても言及し、計量経済学への橋渡しが容易であるような記述を心がけている。そうした点でYamane (1968), Yamane (1973)で経済数学や統計学を学んだことで研究者への道を志したものが少なからずいたと推察される。この点はこれら2つの本を引用した多数の論文が学術雑誌に掲載されていることで確認できる(Statistics (Yamane (1973))を引用している学術文献は、Google Scholarで、2019年3月現在で4,577点の多数に上っている)。 Mathematics for Economists: An Elementary Survey は2回の改訂版が発行され、米国以外 (スペイン、ポルトガル、イタリア、トルコ、ギリシャ) でも翻訳出版がなされたが、その英語原書は現在でも過去の名著の出版を手がけるLiterary Licensing社から刊行されており、ハードカバーとペーパーバック版が共にアマゾンなどを通じて購入可能である。Statistics: An Introductory Analysis は3回の改訂版が出版されておりドイツとスペインでの翻訳出版がなされている。原書は1,130ページの大著であるがその完全な翻訳が青山学院大学の「青学出版」より刊行されていた。またその縮刷版の日本語版(翻訳というよりも山根教授自身による改訂版)が東洋経済出版から『統計学』として出版されている。同書は初版発行後40年が経過したが、現在でも発行と販売が続けられている。なお原書の方には標本抽出の最適規模を決定する著名な「山根公式(The Yamane's formula)」が説明されている(下記の評価欄を参照)。
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