ヴェイユ因子(Weil divisor)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 16:23 UTC 版)
「代数幾何学用語一覧」の記事における「ヴェイユ因子(Weil divisor)」の解説
余次元 1 のサイクルのこと。こちらのほうが標準的な呼び方。「因子 (代数幾何学)」参照。
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ヴェイユ因子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/27 08:51 UTC 版)
「因子 (代数幾何学)」の記事における「ヴェイユ因子」の解説
X を既約かつ被約で分離的な正規ネータースキームとする(分離的な代数多様体は既約かつ被約なネーター的スキームであるから、正規で分離的代数多様体を考えていると思って差し支えない)。Z を dim Z = dim X - 1 、つまり余次元が 1 の既約で被約な閉部分スキーム(既約な閉部分代数多様体)とする。このような閉部分スキームを素因子 (prime divisor) とよぶ。X 上のヴェイユ因子 (Weil divisor) とは、 有限個の素因子 Zi の有限型式和 D = ∑ i = 1 m a i Z i {\displaystyle D=\sum _{i=1}^{m}a_{i}Z_{i}} の事を言う。単にヴェイユ因子といった場合は通常、係数 ai は整数である。このとき D の次数 (degree) を deg ( D ) = ∑ i a i {\displaystyle \deg(D)=\sum _{i}a_{i}} により定める。係数 ai が有理数のときは、Q-ヴェイユ因子、 実数の時には R-ヴェイユ因子と呼ぶ。ヴェイユ因子、Q-ヴェイユ因子、R-ヴェイユ因子を単に因子、Q-因子、R-因子と呼ぶ事も多い。ヴェイユ因子、Q-ヴェイユ因子、あるいはR-ヴェイユ因子 D のすべての係数 ai が非負のとき、D は有効 (effective) であるといい、D ≥ 0 と書く。ヴェイユ因子(または、Q-ヴェイユ因子、R-ヴェイユ因子)の全体は 自由Z-加群(Q-ベクトル空間、R-ベクトル空間)の構造を持つ。これを Div (X)(または DivQ (X) , DivR (X) )で表す。また次数0のヴェイユ因子全体はこの群の部分群をなす。これを Div0 (X) で表す。 X 上の素因子 Z をひとつ取ったとき、Z と交わりが空でないアフィン開部分スキーム U = Spec (A) を取ると、Z は環 A の高さが1の素イデアル P に対応する (つまり、Z の高さ 1 の生成点 P をとり、U = Spec (A) として P を含むアフィン開部分スキームを取った)。この素イデアル P での A の局所化 AP は1次元正規ネーター局所環であるので、関数体 k(X) の離散付値環になる。対応する離散付値を vZ で表す。AP の極大イデアルも P で表すとき、有理関数 f に対して vZ(f) は、f ∈ Pd であるが f ∉ Pd+1 となる d に等しい。すなわち、f が Z に沿ってどのぐらいの重複度を持っているか(正の時には零、負の時には極)、もっと砕けた言い方をすれば「f が P で何回割り切れるか」に対応する値である。f を A の元 g , h を用いて f = g / h と表したとき、vZ(f) > 0 ならば g ∈ P でなくてはならないし、vZ(f) > 0 ならば h ∈ P でなくてはならない。A の元 g に対して g ∈ P となる P は有限である(付随素因子の有限性、準素分解参照)。同様に h ∈ P となるPも有限。したがって、f に対して vZ(f) ≠ 0 となる Z で Z ∩ U ≠ ∅ となるものは有限である。X はネーター的と仮定したから、X は有限個のアフィンスキームで覆われるので、結局 vZ(f) ≠ 0 となる素因子 Z は有限である。そこで、f に対して ( f ) = ∑ v Z ( f ) ≠ 0 v Z ( f ) ⋅ Z {\displaystyle (f)=\!\!\sum _{v_{Z}(f)\neq 0}\!\!v_{Z}(f)\cdot Z} は有限和になるので因子になる。これを f で定まる主因子 (principal divisor) と呼ぶ。主因子は常に次数0をもつ。(fg)=(f)+(g), -(f)=(1/f) より主因子の全体は群(特に Div0 (X) の部分群)をなす。2つの因子 D , E が線形同値 (linearly equivalent) であるとは、D - E が主因子となることと定義し、D 〜 E で表す。因子 D 自身の係数がすべて非負でなくても、D がある有効因子と線形同値になるとき、簡単のため言葉の濫用によって「D は有効である」と言うことがある(下記#線形型と有理写像参照)。 ヴェイユ因子の線形同値類からなる群をピカール群 Pic (X) という。主因子の全体は Div0 (X) の部分群であるから、Div0 (X) の線形同値類からなる群も定義され、この群を Pic0 (X) であらわす。Pic0 (X) をピカール群という場合もある。
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