ワールドチャンピオンへの評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 04:44 UTC 版)
「後藤治」の記事における「ワールドチャンピオンへの評価」の解説
後藤は上記の通り、プロジェクトリーダーとして3人のワールドチャンピオンと一緒に仕事しているが、3人について以下のように語っている。 アラン・プロスト 「“プロフェッサー(教授)”と呼ばれていましたが、あれほど実像からかけ離れたニックネームも珍しいですよ。プロストは若い時からいいクルマに乗り続け、いい体験をいっぱいしてきたから、どういう方向にセットアップすればいいかが経験的にわかっている。それがプロストの財産でね。1989年にプロストは加速でセナに負けたから、ホンダを“エンジン操作している”と批判してきた。でも、データを見るとセナが高回転まで使っているのに対してプロストは使っていない。この時はもうNAになっていて、燃費は関係ないから回転を抑えて走っても全く意味がない。でもプロストは理屈を分からずに走ってるから、ターボ時代同様に回転を抑えて走っていた。ホンダが技術的なことを説明しようとしても聞こうとしないし、興味がない。我々も困って、あの当時はまだアナログのタコメーターでしたから、“この回転数まで必ず引っ張るように”という目盛り代わりのステッカーを貼ってあげたんです。もちろん、非常に速いドライバーですよ。タイヤの使い方も抜群だし。でも、今の時代ならチャンピオンになれないでしょうね。」 アイルトン・セナ 「とにかく意志の強い人。どうすれば自分のやりたいことが成功するかをいつも考えていましたね。ロータスへのエンジン供給もまずロータスと交渉したのではなく、セナと話しているなかで進展していった。モータースポーツは道具を使うスポーツだから、道具が悪かったら勝てない。だから、チームの運営までシステムそのものに入り込んでいく。そのようなことをしたのは、僕が関わったドライバーではセナとミハエル・シューマッハだけですね。あと、セナは理詰めで走るドライバー。1988年にヘレスでセナは4位だったんですが、どうしてプロストより自分が燃費に厳しかったのか、次の日本GP迄分析して欲しいと言ってきた。セナが高回転まで回し、エンジンパワーを引き出していたが、燃費となると効率ですからね。回転数をあまり上げずに、ブーストを上げた方が馬力をあげるのにいい。当時はターボでしたから。それを説明したら、効率的な走り方をものにした。また、ドライバーによってはテレメトリーのデータと、走り終わってから言ってることの食い違いがあって、エンジニアは方向性が見つからなくて困ってしまうけど、セナにはそういうところは全くなかった。」 ミハエル・シューマッハ 「上述の通り、自分のやりたい目標をどう達成するかというアプローチはセナと非常に似ている。その他には、体力作りをきちんとするところは、シューマッハのほうがセナより一生懸命でしたね。最終的にはセナが生きていても、年齢的なものもあるし、体力的な衰えや特に視力が落ちるでしょうし、世代交代はあったでしょうね。」
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