ワンセグの放送品質と受信料金額に関する議論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 06:04 UTC 版)
「ワンセグ」の記事における「ワンセグの放送品質と受信料金額に関する議論」の解説
ワンセグは移動体向けの軽量に動作するテレビ受信機として設計されており、テレビとしての特性は家庭据え置き型の地デジ受信器とは大きく異なる。第一に「ワンセグ」とは「フルセグ(12セグ)」を対照とした名称であり、ワンセグで利用する情報量はフルセグに対して正味12分の1しかない。そのため、フルセグに比して非常に荒い画質となっており、出演者の顔が判別できなかったり、テロップの文字がつぶれて判別できなかったりすることがある。第二に放送範囲の問題があり、ワンセグはフルセグより地理面積的な視聴範囲は広いが、「放送波が送信される電波塔から離れている場所」「山間部やビルの陰など、地形や建物などによって電波がさえぎられる場所」「トンネル、地下、建物内の奥まった場所」など電波の弱い場所および届かない場所では受信ができないことがある。ワンセグ機は移動体であるから、僻地へ行けば全く受信できないということも一般にありうる。これが一般世帯での通常のテレビ視聴であれば、難視聴地域として電波以外の方法によるテレビ受信が試されたり、受信料の割引などの措置が採られるが、ワンセグでは地理条件で視聴できないとしても対応がなされることはない。 このように、放送品質と放送範囲が通常放送に対して明確に劣るワンセグについて、NHK受信料が発生するのか、また発生するとしても通常と同額を払わなければならないのかという議論があり、ワンセグ携帯電話についての地裁判決を受けて盛り上がった世論を受けて、放送行政を管轄する総務省では、「テレビを持たず、ワンセグ放送も見ていない人から不満が出ているため」として、NHKに対して、ワンセグ携帯のみを持つ世帯については徴収を控えるか、12分の1の受信料に減額することをNHKに対して求める」としたことを複数の大手紙が2016年に報じた。しかし、こうした総務省の動きに対して、NHKの籾井勝人会長は定例記者会見にて地裁判決に反論し、従来通りワンセグでも受信料を徴収する考えを示した。その上、総務省から要請されていたワンセグでの契約実態の調査要請に対しても「ワンセグの契約が何台あるかは調べようがない」などとして調査すらもしない方針を明らかにした。 ワンセグの受信料金額について、中央大学法科大学院教授の佐藤信行は判例コラムの中で、費用の公平負担という視点から批判をしている。 ワンセグの情報量はフルセグに比して圧倒的に少なく、具体的には画質が劣ることになる。このような場合に、そもそもワンセグ・カーナビを通常のテレビ受信機と同様に扱うことが、公平負担論から正当化し得るものであろうか? 現行放送法64条1項ただし書きは、ラジオ放送のみを受信できる受信設備を設置した者は受信契約を締結することを要しないとしているが、費用の公平負担という点からは、この立法政策とワンセグ・カーナビにフルセグ・テレビと同様の負担を求めることの整合性をも考える必要があろう。
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