レビ人のベネディクトと偽教令
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 14:22 UTC 版)
「ソドミー」の記事における「レビ人のベネディクトと偽教令」の解説
ユスティニアヌス1世のソドムの物語の解釈は、後年ではほとんど忘れ去られた存在になっている(彼の死の直後に同性愛志向を制限する法令は、一部を除いて適用されなくなってしまったことが理由) 。例外として850年頃にフランク人がなりすましたカール大帝非公認の教令をBenedictus Levita(レビ人のベネディクト)の名前で悪用した例がある。(参考:Pseudo-Isidore)ユスティニアヌス1世のソドムの解釈と大きく関連するベネディクトの偽教令は以下の3つである。 XXI. De diversis malorum flagitiis. (「No. 21: 多くの恥ずべき間違いについて」) CXLIII. De sceleribus nefandis ob quae regna percussa sunt, ut penitus caveantur. (「No. 143: 罪深い性の不道徳によってその帝国は滅び去った。私たちもこれに対する注意を怠ってはいけない。」) CLX. De patratoribus diversorum malorum. (「No. 160: 多くの邪悪な行いの根源である。」) 上記3行がベネディクトがユスティニアヌス1世の解釈を利用して当時の権力を借りて聖職者の権威を正当化した地域令で、これによりカール大帝の名において罪人を焚刑(火あぶり)にする根拠となった。焚刑はドイツ原史時代の大部分において同性愛志向に対する刑罰の基準であり(ドイツの民間伝承によれば、性的逸脱や特に同性に対する欲情は、憎悪や "nith" と呼ばれる霊的な悪魔によって引き起こされると伝えられ、これに取り憑かれた人々は "nithings" と呼ばれる非人間の悪魔として恐れられた)、ベネディクトもおそらくフランク人のドイツ地方の部族の出であったと思われる。 ベネディクトは "sodomy" の意味を、自然に反する行動(例として自慰や男女を問わない肛門性交など)とみなされた「生殖に結びつかない全ての性行動」と広く解釈しており、これは男女間だけでなく同性間も含まれる個人間の行為であると強調していた。 これらの行動への罰則に対するベネディクトの原理は、個人が犯した罪や異端信仰、迷信、異教、によって自然災害などの天罰が下るため、そこから全てのキリスト教徒を保護するためのものだとしていた。
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