レギュレーション問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/07 00:34 UTC 版)
「ロータス・88」の記事における「レギュレーション問題」の解説
88の開発に先立ち、テスト用車両として86が製作されたが、これとほぼ同時期に「空力性能に関連するボディワークはばね上に完全に固定されなければならない」というレギュレーションが追加された。FISAがツインシャーシを阻止するために追加したものといわれている。 ロータスは1981年開幕戦アメリカ西GPに88を持ち込み、車検を合格しプラクティスを走行するも、他チームの抗議により、FISAによって実戦への出走を禁止された。チームは急遽、81にて出走し予選を通過した。その後も第2戦、第3戦に88を持ち込むも、決勝で走行することはできなかった。さらに、チームは抗議の意味で第4戦サンマリノGPを欠場した。 第8戦イギリスGPには、冷却系などをプライマリーシャーシに移設した改良版である88Bを持ち込むも結果は同じであった。決勝には87を使用し、88の実戦投入を諦めた。 ツインシャーシ構造におけるロータスの主張は「シャーシそのものが上下動するのであるから合法である」というものであった。実際、他のチームのマシンもグラウンドエフェクトを発生しているサイドポンツーンやウイング類はばね上に固定されているためタイヤから見たらグラグラと動いており、ロータスが主張するプライマリーシャシとは区別出来ない。 これは「空力性能に関連するボディワークはばね上に完全に固定されなければならない」という条文のばね上がどこを指しているのか厳密に定義していないFIAのレギュレーションの完全な穴だが、しかしながら自動車工学の常識で考えると、シャシとは積載荷重(エンジンや変速機、乗員、燃料タンクなど)を支え、路面からの入力を受ける構造体である。88で積載荷重を支え路面からの入力を受けているのはセカンダリーシャシーであり、タイヤに対してダウンフォースを供給する一方のプライマリーシャシーは、自動車工学の慣例からするとシャシーと呼べる構造体ではない。ダウンフォース以外の荷重を殆んど支えていないプライマリーシャシーはそれ全体が紛れもない一つの空力装置であり、各種荷重を受けている本来のシャシー(セカンダリーシャシー)に強固に固定されていないということは、ルール上認められるはずはなかった。
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