モデル・プロダクションとは? わかりやすく解説

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モデル・プロダクション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/16 23:18 UTC 版)

MPこと、モデル・プロダクション: Model Production、: 東京学生英語劇連盟)は、1967年に創立された関東の学生たちが作る英語劇団である。

概要

モデル・プロダクション(: Model Production、: 東京学生英語劇連盟)は、1967年、ブロードウェイでの舞台経験をもつフルブライト交換教授、故リチャード・A・ヴァイアの指導のもと、『English Through Drama(演劇を通じて英語を学ぶ)』という理念に基づいて設立された。その後はヴァイアの推薦によりアメリカのプロ俳優養成学校で演技を学んだMP第1期生である奈良橋陽子によって理念が継承され、2016年には50周年記念公演を迎えた。

モデル・プロダクションは50年に及ぶ歴史を持つが、「Model Production 2016(MP16)」「Model Production 2017(MP17)」などと称して、毎年の公演が終わった後に新たなプロダクションとして組織される。

大学生大学院生専門学校生であれば誰でも活動に参加できる。 例年12~2月に参加者募集のガイダンスとオーディションをおこない、2月中旬に稽古を開始、5月のGWに本公演を行う。例年の客動員数は3,000人前後である。2009年の公演では4,000人を超えた。

モデル・プロダクションの特徴の一つとして、すべての活動を英語で行うことが挙げられる。モデル・プロダクションでは単に演技力の向上を目指すだけではなく、English Through Dramaの理念に基づき、コミュニケーションの手段としての生きた英語を身につけることを重視している。そのため、モデル・プロダクションのキャストスタッフは全ての活動を英語で行っている。舞台の勉強をするためだけでなく、英会話を習得するためにモデル・プロダクションに参加する学生も多い。一方で、未熟な学生たちの団体であることを利用して卒業生がクレジットカードの勧誘をしたり、スピリチュアルな思想を持ち込む大人が関与することがあり、善悪の判断を養う場にもなる。

構成

モデル・プロダクションのメンバー人数は年によって大きく変動するが、近年ではソーシャルヘッズを含めると80人前後となっている。

運営

モデル・プロダクションは学生とソーシャル・ヘッズと呼ばれる社会人参加者によって運営される。 学生の代表としてプロデューサーが毎年モデル・プロダクションを設立し、演劇の世界でプロとして活動する社会人を、演出家、ステージ・アドバイザー・振り付け師などとして招致している。 また総監督は奈良橋陽子であり、運営に関する事柄の最終的な責任者となっている。

ソーシャル・ヘッズの例
総監督 General Manager      
演出家 Director
ステージ・アドバイザー   Stage Advisor
英語指導 English Advisor
振り付け Choreographer
歌唱指導 Singing Advisor
編曲 Composer
照明指導 Lighting Advisor
音響指導 Sound Advisor

など

学生ヘッズの例
制作 Producer
制作補 Assistant Producer
会計 Treasurer
宣伝美術 Art Designer
渉外 Public Relations (PR)
舞台監督 Stage Manager
舞台監督補 Assistant Stage Manager
演出補 Assistant Director
舞台装置小道具チーフ Sets and Props chief
音響チーフ Sound chief
衣装メイクチーフ Makeup and Costume chief
照明チーフ Lighting chief
ライブ演奏者チーフ Live Musicians chief

など

※プロダクション内ではすべての活動が英語であるため、制作代表はProducer、舞台監督はStage managerなどとすべて英語で称される。

参加者

稽古のほとんどが東京で行われるため、東京、埼玉、神奈川、千葉からの参加者がほとんどである。舞台美術やバンド演奏もあるため、美大や音大からの参加者もいる。また参加資格は大学生であることであるが、稽古中に大学生であればよいので、2月の時点で高校3年生である生徒や、公演時には既に大学を卒業している学生でも参加することができる。

ヘッズになるのは通例2年以上の参加者で、1年目の参加者はオーディションを受け、キャストかスタッフかライブ・ミュージシャンに属する。

稽古

稽古はRehearsalと呼ばれ、週に5〜6回行われる。稽古は東京近郊の大学や公民館などで行われる。

総監督がアップスアカデミーの主催者でもある奈良橋陽子であるため、演技指導はメソッド演技法である。メソッド演技法は日本でまだなじみ深いものではないため、日本でメソッド演技法による指導を受けるためにモデル・プロダクションに参加する学生もいる。

プロダクション内にはキャストのほかに舞台装置衣装照明音響演奏の各セクションと運営があり、キャストの演技指導と平行して舞台の製作や演奏の練習が行われる。

舞台装置と衣装の製作は稽古場とは違う場所で行われることもあり、叩き場(Setting Place)と呼ばれる。

公演

モデル・プロダクションは毎年1回、英語のミュージカルを公演する。例年公演は5月初頭のGWに行われており、演目はディレクターによって決められる。 台本をそのまま利用し公演する年もあれば、原作の本をディレクターが大幅に手を加えて台本に起こし、公演することもある。

本公演は通常東京都内のホールにて、2日間にわたり行われる。2005年からは世田谷区民会館で行われている[1]

公演では海外劇団の来日公演のように字幕が付くことはないが、パンフレットに日本語によるストーリーが掲載される。

過去の演目

以下は過去のモデル・プロダクションにより上演された演目である[2]

YEAR TITLE
1967 Picnic
1968 Our Town
1969 You Can't Take It With You
1970 Curious Savage
1971 I Remember Mama
1972 Tour/Next/Trees
1973 June Night
1974 Our Town
1975 Bus Stop
1976 Harvey
1977 Hair
1978 One Flew Over The Cuckoo's Nest
1979 The Magic Monkey
1980 Heaven Can Wait
1981 The Caucasian Chalk Circle
1982 Pippin
1983 Runaways
1984 Promises, Promises
1985 Fame
1986 Return To Africa
1987 Amadeus
1988 Rebel Without A Cause
1989 Laugh! In'89
1990 A Midsummer Night's Dream
1991 Dark Of The Moon
1992 God's Favorite
1993 The Wiz
1994 Grease
1995 Juliet
1996 Theatre Sports
1997 Shadow Game
1998 Unsung Hero
1999 Into The Woods adapted for the MP'99
2000 Godspell adapted for the MP'2000
2001 June Night
2002 Return To Africa
2003 STARS(the original title "FAME")
2004 The Wiz
2005 Oliver
2006 Golden TicketS
2007 Angel of Alchemy
2008 Momo
2009 So We Sing!
2010 The Pride Of Africa
2011 First Step
2012 Here We Are
2013 June Night
2014 The Little Tree
2015 The Magic Monkey
2016 Ghost Light
2017 The Pride of Africa
2018 The Wiz
2019 The Wind in the Willows
2020 Summer Christmas
2021 School of Rock
2022 Second Star on the Right

主な出身有名人

モデル・プロダクション出身の主な俳優、芸能人[3]

過去の参加大学

モデル・プロダクションには関東広域にわたる大学生が参加している。ESS(英会話サークル)からの参加者も多い。

青山学院大学 青山学院女子短期大学 亜細亜大学 桜美林大学 大妻女子大学 お茶の水女子大学 学習院大学 神奈川大学 神田外語大学 北里大学 慶應義塾大学 恵泉女学園大学 国際基督教大学 埼玉大学 実践女子大学 首都大学東京上智大学 女子美術大学 昭和音楽芸術学院 白百合女子大学 成蹊大学 成城大学 聖心女子大学 大正大学 拓殖大学 多摩美術大学 千葉大学 中央大学 筑波大学 津田塾大学 帝京大学 東海大学 電気通信大学 東京外国語大学 東京経済大学 東京工業大学 東京造形大学 東京大学 東京女子大学 東京造形大学 東京都立大学 (1949-2011) 東京理科大学 東放学園専門学校 東洋大学 東洋英和女学院大学 獨協大学 都立保健科学大学 日本大学 日本女子大学 日本体育大学 一橋大学 フェリス女学院大学 文化学院大学 法政大学 明治学院大学 横浜市立大学 横浜国立大学 立教大学 早稲田大学 (50音順) など

脚注

  1. ^ MP2007公式ホームページ
  2. ^ MP2008ガイダンス配付資料
  3. ^ MP2008公演情報フライヤー

外部リンク


芸能事務所

(モデル・プロダクション から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/15 03:03 UTC 版)

芸能事務所(げいのうじむしょ)は、芸能人の活動支援を業務とする企業で、タレント事務所(タレントじむしょ)、芸能プロダクション(げいのうプロダクション)とも称される。

日本における芸能事務所

活動様態は多様である。契約する芸能人のエージェンシー業務、契約する芸能人のマネジメント業務、芸能プロダクションの本来の意味である制作プロダクション業務がある。

事務所によっては文化人など芸能分野以外のマネジメントも行っている。

関係法規

芸能事務所と芸能人の間の契約

  • 芸能人が個別の事業者だと請負契約で「雇用契約」ではなく、「業務提携契約」だとして、契約書は日本音楽事業者協会の統一契約書をほとんどの芸能事務所が使用している。しかし、芸能人が契約を解除する際、事前に書面で承諾を求めることが規定され、事務所には、一定期間契約を延長できる権利が認められており、著作権などの権利関係も所属事務所側に帰属する事例がほとんどである。このため、芸能人に一方的に不公正だと問題になっている[1]
  • 2016年11月、厚生労働省が、日本音楽事業者協会などの業界団体に「芸能人も労働者として扱い、雇用契約と見なすこともあり得る」内容の通知を出したが業界団体は抵抗している。厚生労働省では、「事務所の事業や売り上げのために所属している人を指揮命令して使うのは、労働者だと認定される事例が相当多いのではないか。形式ではなく実態として判断していく。」としている[1][2]
  • 2018年2月15日、公正取引委員会がフリーランスの働き方についての調査報告「人材と競争政策に関する検討会」報告書で、「契約満了時に芸能人が契約更新を拒否する場合でも、芸能事務所のみの判断により、契約を一度更新できることが契約上規定されており、また、芸能事務所の判断で当該規定が実施される場合がある。」と明記され、再契約を迫る圧力をかける行為が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)に抵触する可能性を示唆した[3]
  • 2019年8月27日、公正取引委員会は、芸能の契約や取引について独占禁止法で問題となり得る具体例を下記のように例示し、今後、芸能事務所などに周知を図り、業界団体の自主的な改善を支援するとした。
「芸能事務所の移籍・独立」に関しては、以下の1. - 3. については「優越的地位の濫用」、4. については「取引妨害」などに該当する恐れがあるとした。
  1. 所属事務所との契約終了後に一定期間は芸能活動ができない義務を課す。
  2. 移籍した場合に活動を妨げると示唆する。
  3. 芸能人側が拒絶しても事務所が一方的に契約を更新する。
  4. 過去の所属事務所が、移籍先やテレビ局などに移籍・独立した芸能人を使わないように圧力を掛ける。
待遇面に関しては、下記については独占禁止法に抵触する可能性があるとした[4]
  1. 芸能人と十分に協議しないまま一方的に著しく報酬を低く設定する。
  2. 芸能人の肖像権や知的財産権などを事務所が譲り受けたのに、見合った対価を支払わない。
  • 2019年7月17日、SMAPの元メンバーの稲垣吾郎草彅剛香取慎吾の独立した3人にジャニーズ事務所から、民放テレビ局などに、3人を出演させないよう圧力をかけた疑いがあり、公正取引委員会は独占禁止法違反の恐れがあると、7月17日までにジャニーズ事務所を注意した。ジャニーズ事務所から独立後、出演していた民放テレビ局のレギュラー番組が次々に打ち切りとなり、2019年7月で、民放の番組への出演はなくなっていた。公正取引委員会は関係者から事情聴取して調査していた[5]

預かり所属と正所属

事務所との所属契約区分に関する用語[6][7]。養成所などを経てオーディションにより事務所に入所した場合、まずマネジメント対象となり、「預かり所属」「ジュニア」「ユース」などと呼ばれる仮所属の状態になる。これらは事務所によって、単に別称である場合と、預かり所属を経てジュニアやユースに昇格する場合がある。一定期間経過後、事務所側の判断などにより、「準所属」を経て「正所属」「本所属」「専属」などと呼ばれる正式所属の状態になるが、「準所属」を経ない場合や区別があいまいな事務所もある。正式所属になるまでの期間は、所属料やレッスン料が発生する場合もある。

仮所属と正式所属では契約期間が異なり、報酬額、仕事数などの待遇も異なるが、いずれも個人事業主が事務所と業務提携契約をしているという雇用形態をとる場合が多い。

脚注

出典

参考文献

  • 『メディア業界ナビ3 芸能プロダクション64の仕事』 理論社、2007年。ISBN 978-4652048634

関連項目

業界団体





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