メーストルを扱った日本語書籍
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「ジョゼフ・ド・メーストル」の記事における「メーストルを扱った日本語書籍」の解説
メーストルについて言及する日本語の書籍の中で、現在最も有名で入手しやすいのはカール・シュミットの『政治神学』、そしてアイザイア・バーリン『ハリネズミと狐-戦争と平和の政治哲学』(岩波文庫)である。また岩波書店で刊行されているバーリン選集にも、メーストルについて触れられている論文がいくつかある。 日本の保守系論客の著作の中にメーストルの名前が登場することがあるが、ほとんど重要でないものしか確認していない。保守主義一般についての古い概説書などには、メーストルが比較的詳しく取り扱われているものもある。 フランス哲学史、啓蒙思想史の本などに彼の名前がルイ・ガブリエル・ド・ボナールと共に「反革命家、反動家」として挙げられていることがある。また『フランス革命事典』や『カトリック事典』の類に彼の項目が載っているものもある。 ところが、近年それら評論書や概説書の一部のみならずメーストルを主題にした書物が著され始めている。アントワーヌ・コンパニョン『アンチモダン -反近代の精神史』(名古屋大学出版会 2012年)に於いて「反啓蒙思想・反革命・崇高・原罪・悲観主義・罵詈雑言」を必要条件とする「反近代主義」の作家の始祖としてメーストルが挙げられ、書物を通してメーストルの引用が繰り返されている。また慶應義塾大学の川上洋平『ジョゼフ・ド・メーストルの思想世界』(創文社 2013年)で、彼の名のつく書物が初めて出版された。ルソー研究の基礎がある著者の研究的反動性が顕われた名著である。 この流れを引き受け、オピニオン雑誌「表現者」に於いても平坂純一『フランスの保守思想 ジョゼフ・ド・メーストル』が7回連載 されるなど、これまで吾が国で主流だった英国流のバークの保守思想に加えて、その根源的な意義を確かめる為の思想家として見直されている。
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