メリメ原作『カルメン』からの改変について
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「カルメン (オペラ)」の記事における「メリメ原作『カルメン』からの改変について」の解説
当初ビゼーは、メリメの原作に忠実な台本を望んだが、主人公が盗賊である、殺人によって劇が締めくくられるなどの内容がオペラ・コミックを上演する劇場にふさわしくないと劇場側から拒否され、やむなく原作から大幅な改変がなされた。結果としてこの改変が功を奏し、今日まで続く人気につながっているとみることもできる。おもな相違点は以下の通りである。 ミカエラは、オペラで追加された登場人物である。 ダンカイロおよびその一味オペラでは「密輸団」とされているが、原作では強盗・殺人を躊躇なく行う犯罪集団という色合いが強い。 原作ではカルメンの情夫である片目のガルシアが出所してきて一味に加わる。 ドン・ホセ原作では、ホセがバスク地方の出身である点が強調されている。差別的な扱いを受け、苦労することも少なくない状況で、故郷の母を安心させるために兵士として身を立てようと勤勉に働く姿が描かれている。また、逮捕されたカルメンはホセがバスク出身者であることを見抜き、自分もバスク出身者であると偽り、同郷の自分を見捨てるのかと言い寄って脱走の手伝いをさせる。 原作では、カルメンをめぐって上官と言い争いとなり、激昂して上官を刺殺、そのまま軍を脱走し、ダンカイロ一味に身を寄せることになる。 その後も、躊躇なく窃盗・殺人を繰り返し、付近では有名なお尋ね者となっている。 原作では、ホセがガルシアにいちゃもんをつけてナイフで決闘になり刺殺してしまう。 闘牛士ホセをよそにカルメンと恋仲になるのは同じであるが、その後に闘牛の際の事故で牛の下敷きとなり、再起不能の重症を負う。そのことを知ったホセが、よりを戻すためにカルメンを訪ねるが、説得に失敗し刺殺に至る。また、名前も異なる。 カルメン演出や歌手の演技にも左右されるが、一般的には「誇り高き女性」とされるオペラのカルメンとは異なり、原作では、男を騙したり悪事に手を染めることを厭わない性悪なあばずれ、という印象が強い。しかし、束縛されることを徹底して嫌い、自由であることを求めるところは変わっておらず、ほとんど改変されずにオペラでも使用されているカルメンの印象的な台詞は数多い。 ラストシーンオペラでは闘牛場の場外であるが、原作では山中の洞窟である。
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