ミサ曲の構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 05:18 UTC 版)
ミサ曲の基本的な構成要素は、一般的に、『キリエ』(求憐誦)、『グローリア』(栄光頌、天には神に栄光)、『クレド』(信経、信仰宣言)、『サンクトゥス』(三聖頌、感謝の賛歌)、『アニュス・デイ』(神羔頌、神の小羊)の5曲である。これらはみな通常文といい、どのような場合にも必ず同じ典礼文を用いる。これら5曲をすべて備えたものを通作ミサ曲と呼ぶ。これに対し、『クレド』(信経、信仰宣言)を含まないものをミサ・ブレヴィス(小ミサ)と呼ぶ。ルーテル派では『キリエ』と『グローリア』のみで構成されるものをミサ・ブレヴィスとした。中世では、この他に『イテ・ミサ・エスト』(終わりの言葉、ミサの散会)も作曲された例があるが(例えばギョーム・ド・マショー)、一般には『キリエ』の旋律を当てはめていた。 ミサで歌われるものには、この基本要素に、入祭唱(イントロイトゥス)、昇階唱(グラドゥアーレ)、アレルヤ唱、続唱(セクエンツィア)、奉献唱(オッフェルトリウム)、聖体拝領誦(コンムニオ)などの固有文が加わる。固有文は、例えば祭日や死者ミサなど、時と場合によってその構成が異なる(死者ミサについてはレクイエムの項を参照)。ミサ曲の作曲は、どのミサでも歌われる通常文に対して行われるのが普通で、固有文はグレゴリオ聖歌を使用する場合が多い。年間に用いられる全ての固有文(ただしオッフェルトリウムを除く)に作曲した例はハインリヒ・イザークの3巻の「コラーリス・コンスタンティヌス」(未完/ゼンフル補筆)が存在するのみである。続唱は中世後期からルネサンス期初頭にかけて発達したが、1545年から1563年にかけて開かれたトリエント公会議で大幅に整理された。 一般的なミサの構成(着色部が歌われる部分)固有文通常文開祭 イントロイトゥス 祭壇の表敬と会衆への挨拶 回心の祈り キリエ グローリア コッレクタ(集祷文: 集会祈願) 言葉の典礼 使徒の書簡(聖書朗読) グラドゥアーレ アレルヤ/トラクトゥス セクエンツィア 福音書朗読 説教 クレド 感謝の典礼(聖餐式) オッフェルトリウム セクレタ(密唱)とプレファツィオ(叙唱) サンクトゥスとベネディクトゥス カノン(奉献文) パーテル・ノステル(主の祈り) アニュス・デイ コムニオ イテ・ミサ・エスト
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