マキャヴェッリが説く自由意志
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 15:08 UTC 版)
「普遍史」の記事における「マキャヴェッリが説く自由意志」の解説
14-16世紀に興ったルネサンスは、膠着した思想や文化に変革をもたらす運動だった。その時代に活躍した一人、ニッコロ・マキャヴェッリは世界史についての叙述を残していない。しかし、彼は『君主論』で政治論を展開する中、普遍史の根本概念である神の意思に対抗する人間の自由意志について述べた。後年にマキャヴェリズムとして彼の思想は「目的達成のためには手段を選ばない」と解釈されているが、マキャヴェッリが説いた本質は、旧来の宗教的または伝統的な観念や道徳とは異なる国家という社会単位を軸に君主は行動せねばならず、よもや甘んじて「運命や神などに支配される」場合ではなく(第25章)、人間は自由意志を持って能動的に行動する能力である「力量」(virtù) を発揮し、宗教から離れた独自の論理を働かさねばならないと主張したものだった。 マキャヴェッリは『フィレンツェ史』で局地的な歴史記述を残している。しかしその内容は、ローマ植民地に始まるフィレンツェの歴史を、市民と貴族の抗争や周辺諸国との関係または教皇派と皇帝派の対立などあくまで政治面を徹頭徹尾記述し、人間の自由意志が展開する様子を解説している。そこには宗教観が入り込む余地は無く、ルネサンス期に生まれた普遍史的世界観を揺るがす思想の萌芽を読み取ることが出来る。
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