ポップカルチャー・芸術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 03:56 UTC 版)
人新世の概念はポップカルチャーや芸術にも影響を与え、環境アートをはじめ人新世に関連のあるアート作品も制作されるようになった。たとえばKelly Jazvacら3名の共同による『プラスティグロメレート(英語版)』(2013年)という作品のタイトルの意味は、「人が撒き散らかしたゴミ、または石油製品などが海中等の様々な物質とともに熱せられるなどして石のような塊になった物質」を指す。人新世をテーマとする展覧会として、ニコラ・ブリオーによる台北ビエンナーレの『グレート・アクセラレーション』(2014)、長谷川祐子によるモスクワ国際現代美術ビエンナーレ(英語版)の『雲 ⇆ 森』(2017)なども開催された。音楽ではニック・マルヴェイ(英語版)がコーンウォールの海岸に漂着したプラスチックを素材にして、アナログレコード作品『In The Anthropocene』を制作した。その他にも人新世をタイトルやテーマに冠した作品を発表するミュージシャンがいる。 人新世の概念の普及には映像作品も影響を与えており、『Anthropocene』(2015年)、『Anthropocene: The Human Epoch』(2018年)、『L'homme a mangé la terre』(2019年)などのドキュメンタリーは注目を集めた 。クリス・ジョーダン(英語版)はミッドウェイ諸島のアホウドリを撮影し、親鳥からプラスティックを与えられて消化できずに死亡した雛の姿を発表した。ジョーダンはのちにこれを『アホウドリ』(2017年)として映画化した。プラネタリー・バウンダリーの提唱者でもあるヨハン・ロックストロームは、Netflixのドキュメンタリー『地球の限界: 私たちの地球の科学』(2021年)に出演して問題の解決を訴えた。 ドキュメンタリー以外の作品としては、アニメ映画『天気の子』(2019年)がある。この作品は気候変動に見舞われ東京の多くが海没している近未来の世界が舞台となり、登場人物が読む雑誌の誌面に「アントロポセン」と書かれているシーンがある。漫画では、産業社会が崩壊し特異な生態系に覆われた地球を舞台にした『風の谷のナウシカ』を人新世に関連づける言及もなされている。
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