ベッカー型筋ジストロフィー
X(性)連鎖劣性遺伝をとり、デュシェンヌ型に臨床症状は似るが、15歳をすぎても歩行可能な軽症例につけられた臨床診断名です。分子遺伝学はこの「軽症」の理由をみごとに説明しました。ベッカー型ではジストロフィン蛋白はまがりなりにも産生されていて、それが筋の変性を防いでいるのです。ですから症状が軽いのです。
a.病因、病態、病理
ベッカー型の遺伝子座もデュシェンヌ型と同じように、Xp21にあります。デュシェンヌ型と同じように、ジストロフィン遺伝子の欠失が最も多く、患者の約60%にみられます。デュシェンヌ型と異なり、欠失部には3塩基の読みのずれがありません(in frame deletion)。そのために分子量は427kDより小さく、量的には少ないがジストロフィン蛋白は生成されるのです。遺伝子が重複の場合は分子量は大きくなります。また分子量は変わらず、量的に少ないものもあります。
筋生検では筋線維の大小不同、壊死・再生など筋ジストロフィーの所見を備えています。ただし、デュシェンヌ型より一般に軽く、多くの肥大線維を含んでいます。ジストロフィン染色をすると筋線維膜はまだらで薄く(patchy and faint)染まります(図12)。ジストロフィン蛋白量はWesternブロットで測定すると正常よりは量的に減っています。
b.臨床症状
デュシェンヌ型:ベッカー型の頻度はは3:1と教科書的にはいわれていました。ジストロフィンテストにより、高クレアチンキナーゼ(CK)血症のみで見いだされたような軽症患者も見いだされ、さらに肢帯型筋ジストロフィーと診断された患者の中からも本症が見いだされ、その頻度は予想より高いことが明らかにされています。わたしたちの研究室ではデュシェンヌ型:ベッカー型=2:1となっています。。
デュシェンヌ型に似たような強い症状のものから、成人発症までと幅があります。中には成人まで全く症状がない人もまれではないようです。筋力低下は躯幹近位筋が好んで侵され、歩行、起立に関する異常が最も多いこともデュシェンヌ型に似ています。中には大腿四頭筋が強く侵され、四頭筋ミオパチー(quadriceps myopathy)の診断を受けることもあります。歩行可能例ではしばしばふくらはぎに筋痛を訴えます。筋力低下はないけれど筋痛が主症状で、検査したらベッカー型だったという例もまれではありません。ふくらはぎにはほとんど例外なく仮(偽)性肥大があります(図13)。まれですがベッカー型には四肢筋の罹患に先行して心肥大、心不全を来たすことがあるので、心臓の定期的チェックが重要といわれています。
c.治療
前記のデュシェンヌ型と同じで、本症に特別効く薬はありません。症状のところで述べたように、心症状が早期よりみられる人がまれにあるので、定期的な心機能検査(心電図、心エコー)が必要です。
a.病因、病態、病理
ベッカー型の遺伝子座もデュシェンヌ型と同じように、Xp21にあります。デュシェンヌ型と同じように、ジストロフィン遺伝子の欠失が最も多く、患者の約60%にみられます。デュシェンヌ型と異なり、欠失部には3塩基の読みのずれがありません(in frame deletion)。そのために分子量は427kDより小さく、量的には少ないがジストロフィン蛋白は生成されるのです。遺伝子が重複の場合は分子量は大きくなります。また分子量は変わらず、量的に少ないものもあります。
筋生検では筋線維の大小不同、壊死・再生など筋ジストロフィーの所見を備えています。ただし、デュシェンヌ型より一般に軽く、多くの肥大線維を含んでいます。ジストロフィン染色をすると筋線維膜はまだらで薄く(patchy and faint)染まります(図12)。ジストロフィン蛋白量はWesternブロットで測定すると正常よりは量的に減っています。
ジストロフィン抗体で染色すると、ベッカー型ではジストロフィンがまだらではあるが、明らかに存在する。デュシェンヌ型(図7参照)のように完全欠損ではない。 | |
図12: ベッカー型筋ジストロフィーの免疫組織化学的染色 |
デュシェンヌ型:ベッカー型の頻度はは3:1と教科書的にはいわれていました。ジストロフィンテストにより、高クレアチンキナーゼ(CK)血症のみで見いだされたような軽症患者も見いだされ、さらに肢帯型筋ジストロフィーと診断された患者の中からも本症が見いだされ、その頻度は予想より高いことが明らかにされています。わたしたちの研究室ではデュシェンヌ型:ベッカー型=2:1となっています。。
デュシェンヌ型に似たような強い症状のものから、成人発症までと幅があります。中には成人まで全く症状がない人もまれではないようです。筋力低下は躯幹近位筋が好んで侵され、歩行、起立に関する異常が最も多いこともデュシェンヌ型に似ています。中には大腿四頭筋が強く侵され、四頭筋ミオパチー(quadriceps myopathy)の診断を受けることもあります。歩行可能例ではしばしばふくらはぎに筋痛を訴えます。筋力低下はないけれど筋痛が主症状で、検査したらベッカー型だったという例もまれではありません。ふくらはぎにはほとんど例外なく仮(偽)性肥大があります(図13)。まれですがベッカー型には四肢筋の罹患に先行して心肥大、心不全を来たすことがあるので、心臓の定期的チェックが重要といわれています。
17歳男性。ベッカー型では15歳をすぎても歩行可能なのが特徴である。 大腿、上腕筋など近位筋と肩の周囲の筋が萎縮している。ふくらはぎに偽性肥大がある。 | |
図13:ベッカー型筋ジストロフィー |
c.治療
前記のデュシェンヌ型と同じで、本症に特別効く薬はありません。症状のところで述べたように、心症状が早期よりみられる人がまれにあるので、定期的な心機能検査(心電図、心エコー)が必要です。
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