ブリヌイにまつわる伝統
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/21 18:37 UTC 版)
16世紀から17世紀のモスクワの市場で、すでにブリヌイが売られていた記録が残る。 ロシアでは日常の生活でも食べられているが、特に2月下旬に催される四旬節の前の週マースレニッツァ(ロシア語: Масленица, Maslenitsa、「バター祭り」の意、cf.謝肉祭)には大量のブリヌイが消費される。ブリヌイはその丸い形状から太陽の象徴とされ、キリスト教が広まる以前のスラブ民族の間でいくつかの儀式に利用されていた。この習慣はキリスト教が広まった後も正教会により引き継がれ、冬が終わり新しく太陽が再生される事を祝うマースレニッツァには伝統的にブリヌイが祖先の霊への食事、貧者に施す追善料理として用意される(cf.冬至、クリスマス)。マースレニッツァの終わりは四旬節の始まりであり、肉、魚肉はもとより、乳製品や卵の消費が復活祭まで禁じられるため、マースレニッツァの間にブリヌイを消費することは乳製品や卵を四旬節までに使い切ってしまうという現実的な意義もある。マースレニッツァの最終日までに消費しきれなかったブリヌイは、藁でできた巨大な人形(ひとがた)のマースレニッツァ姫(冬の象徴。モレーナまたはコストローマ Kostromaとも)と共に火にくべられ、その灰は豊作を願って畑に撒かれる。 マースレニッツァにブリヌイを食べる習慣は、比較的新しい習慣だとする意見も存在する。 ブリヌイの丸くて欠ける所のない形は、満月や人生の円満さをも象徴している。葬儀の際には、死者を悼んでブリヌイが振舞われ、先祖の魂の象徴として、棺桶の中に一緒に入れ、出産をした後の母親にも供される。ロシアには、巡礼者や貧者のために窓の下枠にブリヌイを供える風習もあった。また、特別な日に客人を歓迎するシンボルとして、ブリヌイが振る舞われる習慣がある。そういう場合にブリヌイを断る事は非礼な行為とみなされる。 なお、ロシアには「ブリーンも最初の一枚は失敗する」(初めの失敗は付き物)という諺がある。
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