ブエノスアイレスからの里帰り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 10:34 UTC 版)
「営団500形電車」の記事における「ブエノスアイレスからの里帰り」の解説
2014年頃より、東京メトロでは前述のマドリードからの中古車両の導入により、現地において元丸ノ内線車両の淘汰が開始されるという報告を受けて、先に長野電鉄から里帰りを果たした3000系と同様に、当系列においても「技術伝承」としての教材とするべく、すでに地下鉄博物館において保存されている300形301号とは異なり、走行できる状態での当系列の保存を目指すこととし、現地で運用されている当系列の買い戻しに向けてメトロビアス社との交渉を開始した。東京メトロでは今回の里帰りの理由を「現在の電車の基礎となった価値のある形式で、現在の電車とほぼ同等の性能で走ることができ、電子機器が多い現在の電車と比べて構造がシンプル。走る・停まるという電車の基礎を学ぶ社員教育の教材に適している。」と述べている。 2016年2月に、アルゼンチンでのサイトにおいて、現地で廃車になった500形の4両 (771,734,584,752) は、東京へ里帰りさせるため、現地での売却は行わないと報じられた。翌3月には日本においても、東京メトロが現地で走行中の4両を買い戻す方向で交渉中であると報じられ、東京メトロでも交渉中である事を認めた。そして7月11日、前述の4両は航路で大黒埠頭に到着し、21・22日の未明に2両ずつ中野検車区に搬入された。また前述の通り、500形は644号までと645号以降では行先表示器左右の標識灯の有無という差異が存在するため、その両方を揃えるという目的もある。営団時代末期の方南町支線での運用時と同様の3両編成(771号[アルゼンチン仕様]-734号[引退時仕様]-584号[デビュー時仕様])を組ませ、残り1両(752号)は予備車である。 デビュー時仕様は、扉の窓を原型に戻したり行先表示幕は初代のものを装備させ、前面の方向指示器も点灯可能にするなど、徹底した復元内容となったが、逆に車内のリコ式吊手や側面の方向指示器は復元を見送った。 日本国外へ譲渡された車両が日本に戻る極めて珍しい例であり、東京メトロでは初めてのケースとなる。この4両のうちの3両は、2017年(平成29年)11月27日に報道陣に公開され、同年12月10日の中野車両基地で行う地下鉄開業90周年の行事で、動態保存の状態で公開された。
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