ブエノスアイレス条約とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > ブエノスアイレス条約の意味・解説 

ブエノスアイレス条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 01:18 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
ブエノスアイレス条約
Buenos Aires Convention
Convention on Literary and Artistic Copyright
(文学的及び美術的著作権に関する条約)
  ブエノスアイレス条約の署名国
種類 多国間条約
署名 1910年8月11日 (1910-08-11)
署名場所 アルゼンチン ブエノスアイレス
締約国 18
寄託者 アルゼンチン共和国外務大臣
言語 スペイン語、英語、ポルトガル語、フランス語
Buenos Aires Convention - Wikisource

ブエノスアイレス条約(ブエノスアイレスじょうやく)は、1910年8月11日アルゼンチンブエノスアイレスで調印された著作権に関する条約。方式主義を採用する南北アメリカ大陸のほとんどの国が署名した。

第3条にて、著作物に権利を留保する旨の記述がなされている場合に、加盟国相互に著作権を承認することが規定されている。この権利留保の記述は、英語では"All rights reserved"(スペイン語では"Todos los derechos reservados"、ポルトガル語では"Todos os direitos reservados")という文言で行うのが一般的だった。アメリカ合衆国の法律では、著者と出版年のみが必要とされていたため、この著作権表示の実施方法は様々だった。第6条、第7条において、著作権が保護される期間は、著作物が制作された国と使用する国の保護期間のうち、短い方の期間を適用すると規定されている(著作権の保護期間における相互主義)。権利留保の表明の要件のやや曖昧な性質が、より長く、より合法的な文言の開発につながっており、著作権の保護に関する国際条約の発展にもかかわらず、それは持続している。

1952年9月6日の万国著作権条約(UCC)第18条において、この条約は無効としないこと、UCCとこの条約との間で規定が矛盾する場合はUCCを優先することが規定されている[1]。ブエノスアイレス条約は変更されていないため、単純な著作権表示の存在は、UCCの締約国となった国の間で著作権の相互承認を確保するのに十分であった(ホンジュラスのみ未加盟)。2000年8月23日にニカラグアベルヌ条約に加盟したことで、この条約の署名国は全てベルヌ条約にも加盟していることとなった。ベルヌ条約では形式的な手続きなしの著作権の相互承認を規定している(ベルヌ条約第5.2条)[2]

ブエノスアイレス条約は、ベルヌ条約第20条に規定する「特別協定」である。ブエノスアイレス条約は、特に著作物の発信国を決定するために、また、著作権の保護期間における相互主義を適用する国に適用される保護期間を決定するために、現在も有効に存続している。著作物が条約国と非条約国で同時に出版された場合、非条約国での保護期間にかかわらず、条約国が発信国とみなされる。

ブエノスアイレス条約 UCC ベルヌ
アルゼンチン 1950年4月19日 (1950-04-19) 1958年2月13日 (1958-02-13) 1967年6月10日 (1967-06-10)
 ボリビア 1914年5月15日 (1914-05-15) 1990年3月22日 (1990-03-22) 1993年11月4日 (1993-11-04)
ブラジル 1915年8月31日 (1915-08-31) 1960年1月13日 (1960-01-13) 1922年2月9日 (1922-02-09)
 チリ 1955年6月14日 (1955-06-14) 1955年9月16日 (1955-09-16) 1970年6月5日 (1970-06-05)
 コロンビア 1936年12月23日 (1936-12-23) 1976年6月18日 (1976-06-18) 1988年3月7日 (1988-03-07)
コスタリカ 1916年11月30日 (1916-11-30) 1955年9月16日 (1955-09-16) 1978年6月10日 (1978-06-10)
ドミニカ共和国 1912年10月31日 (1912-10-31) 1983年5月8日 (1983-05-08) 1997年12月24日 (1997-12-24)
エクアドル 1914年4月27日 (1914-04-27) 1957年6月5日 (1957-06-05) 1991年10月9日 (1991-10-09)
グアテマラ 1913年3月28日 (1913-03-28) 1964年10月28日 (1964-10-28) 1997年1月11日 (1997-01-11)
ハイチ 1919年11月27日 (1919-11-27) 1955年9月16日 (1955-09-16) 1996年1月11日 (1996-01-11)
ホンジュラス 1914年4月27日 (1914-04-27) 1990年1月25日 (1990-01-25)
メキシコ 1964年4月24日 (1964-04-24) 1957年5月12日 (1957-05-12) 1967年6月11日 (1967-06-11)
ニカラグア 1913年12月15日 (1913-12-15) 1961年8月16日 (1961-08-16) 2000年8月23日 (2000-08-23)
パナマ 1913年11月25日 (1913-11-25) 1962年10月17日 (1962-10-17) 1996年6月8日 (1996-06-08)
パラグアイ 1917年9月20日 (1917-09-20) 1962年3月11日 (1962-03-11) 1992年1月2日 (1992-01-02)
ペルー 1920年4月30日 (1920-04-30) 1963年10月16日 (1963-10-16) 1988年8月20日 (1988-08-20)
アメリカ合衆国 1911年8月1日 (1911-08-01)[3] 1955年9月16日 (1955-09-16) 1989年3月1日 (1989-03-01)
ウルグアイ 1919年5月11日 (1919-05-11) 1993年4月12日 (1993-04-12) 1967年7月10日 (1967-07-10)

出典: アメリカ合衆国著作権局英語版[4]UNESCO[5]WIPO[6]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ Geneva Act of the Universal Copyright Convention, done at Geneva, 1952-09-06.
  2. ^ Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works (Paris Act), as amended on 1979-09-28.
  3. ^ The United States has never applied the rule of the shorter term: all copyright works are protected for the normal U.S. term of copyright.
  4. ^ The United States deposited its Instruments of Ratification with the Government of Argentina on 1911-05-01, and hence the treaty came into force with respect to the other parties three months after that date (Art. 16). The treaty was not proclaimed in the United States until 1914-07-13.
  5. ^ "International Copyright Relations of the United States", U.S. Copyright Office Circular No. 38a, August 2003.
  6. ^ Parties to the Geneva Act of the Universal Copyright Convention as of 2000-01-01: the dates given in the document are dates of ratification, not dates of coming into force. The Geneva Act came into force on 1955-09-16 for the first twelve to have ratified (which included four non-members of the Berne Union as required by Art. 9.1), or three months after ratification for other countries.
  7. ^ Parties to the Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works as of 2006-05-30.

外部リンク


ブエノスアイレス条約

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/11/03 05:56 UTC 版)

著作権の保護に関する国際条約」の記事における「ブエノスアイレス条約」の解説

詳細は「ブエノスアイレス条約(英語版)」を参照 ブエノスアイレス条約は、著作権有する旨を知らせ記述(→著作権表示)、より具体的には"All rights reserved"(訳:全権保有)を著作物中に含ませることさえすれば保護をあたえる内容条約で、南北アメリカ大陸のほとんどの国家間調印された。この条約には、相互主義条項盛り込まれている。 現在のブエノスアイレス条約加盟国ベルヌ条約にも加盟しており、"All rights reserved"の表示による保護規定は意味をなさないが、ブエノスアイレス条約で定められている相互主義条項が現在でも適用されている。

※この「ブエノスアイレス条約」の解説は、「著作権の保護に関する国際条約」の解説の一部です。
「ブエノスアイレス条約」を含む「著作権の保護に関する国際条約」の記事については、「著作権の保護に関する国際条約」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ブエノスアイレス条約」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブエノスアイレス条約」の関連用語

ブエノスアイレス条約のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブエノスアイレス条約のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブエノスアイレス条約 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの著作権の保護に関する国際条約 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS