フレーゲ自身の数の見方の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 21:35 UTC 版)
「算術の基礎」の記事における「フレーゲ自身の数の見方の開発」の解説
フレーゲは1+1=2のような特定の数の言明と、a+b=b+aのような一般的な言明とを区別する。後者は前者とまったく同じように数の真な言明である。したがって、数自身の概念の定義を求める必要がある。フレーゲは数が外的なものの中で決定されるという可能性を追究する。 彼は自然言語において数がちょうど形容詞のように機能するようすを示す。「この机は5つの引き出しを持っている」は形の上で「この机は緑の引き出しを持っている」に似ている。引出しが緑であることは外的な世界に基づく客観的な事実である。しかし、5についてはそうではない。フレーゲはこのことからただちに数が主観的であるわけではないと急いで我々に思い出させる。確かに、数は色に、少なくとも、ともに全面的に客観である点で似ている(§22)。 フレーゲは数の単語が形容詞的に現れる(たとえば「4頭の馬がいる」)場所では、数の言明を、数の項が単項として現れる(「馬の数は4である」)言明に変えることができると我々に告げる。フレーゲは数を対象(客体)と捉えるのでこのような翻訳を推奨する。どんな対象でもそれが4に属するかどうかを問うことは意味をなさない。フレーゲは、数が対象であると考えるいくつかの理由をあたえた後、数の言明が概念についての主張であると結論する。 フレーゲはこの観察を『算術の基礎』の基本的な思考であると捉える。こうして納屋の馬の数が4であると私がいうとき、私は4つの対象が馬の概念に属すると言っている。フレーゲは基数操作の文脈的定義によって我々の数の把握を説明しようと試みる(§55)。彼はヒュームの原理(FとGの個数が等しい、または一対一対応がついている]とき、そのときに限り、Fsの数はGsの数に等しい)によって数のアイデンティティを含む判断の内容を組み立てるように試みる(§63)。彼は、「Fsの数」という形式でない単項が個別の記号を配置するとき、それが個別の言明の真理値を固定しないのでこの定義を拒否する。 フレーゲは続けて、概念の外延という用語で数の明示的な定義を与える(§68)が、いくぶんの躊躇も表明している。
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