フレーゲとラムゼイ 真理のデフレ理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 16:16 UTC 版)
「真理」の記事における「フレーゲとラムゼイ 真理のデフレ理論」の解説
フレーゲは真理述語が有する問題に初めて着目し、これを定義不能であるとした。 フレーゲは、現在の分析哲学の基礎を作った人物である。彼は、数学・論理学の基礎を生物学的・心理学的な過程に求めようとする心理主義、殊に意味・思想までも表象ととらえることに強く反対し、意味・思想という論理的なものと心理的なものを厳密に区別しようとした。彼によれば、語は記号である「意義」と記号によって表示される「意味」は区別されなければならず、伝統的に命題といわれてきた文は意義である。文は客観的な思想を含むが、文の真理値がその文の意味なのだとする。すると、ある文、例えば、命題Pは命題「命題Pは真である」と同値になる。したがって、真理の概念は定義不可能になる。彼は、このように、言語表現の内包(意味)が外延(指示対象)を決定すると考え、心理的なものから論理的なものの領域を守ったのであった。 フランク・ラムゼイは、フレーゲの論を更に進めて真理は余分な概念であるとした。命題Pは命題「命題Pは真である」と同値になる。それゆえ真理は余分な概念であり、真理述語はいかなる性質も表現していない。対応説や整合説のように真理述語に存在論的・認識論的性質の表現を認める見解は真理のインフレ理論にあたり、これを認めない見解は真理のデフレ理論にあたる。真理述語は一定の推論的役割という下がり続ける貨幣価値しか有しない。しかし、それは命題が真になる条件を明らかにしてくれる。それは、『「Alice is alive.」が真であるのは、アリスが生きているときであり、かつ、そのときだけである。』との真理条件を満たすかどうか、によってテストすることができる。 真理が真理であると証明することは、ゲーデルの不完全性定理と同じように証明できないであろうので、これが真理だという完全な証明は不可能だと思われる。
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