フリークラス宣言とフリークラス編入との対比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 03:54 UTC 版)
「順位戦」の記事における「フリークラス宣言とフリークラス編入との対比」の解説
順位戦在籍中の棋士が順位戦での対局から外れる場合、(A)「フリークラス宣言」によるフリークラスへの転出、(B)順位戦からの降級によるフリークラスへの編入、の二通りがあり得るが、AとBの両者の明確な違いとして 「フリークラス宣言」による転出を行なうと順位戦への復帰不可能(編入の場合は順位戦への復帰規定あり)。 「フリークラス宣言」による転出を行なうと、制度上の「定年」までの期間が最大5年間延長される。 の二点が挙げられる。 フリークラス制度が導入された当時の背景として、 (1) 順位戦の参加人数が増大し主催者から制度改革が求められていたこと (2) 正当な理由により棋士が順位戦に参加不可であっても原則として全局不戦敗扱いとなることへの対応 の問題を抱えていたことが挙げられる。(1)順位戦の参加人数問題に対しては、「順位戦改革委員会(平成4年設置)」での議論の中で、かつて加藤治郎名誉九段が唱えた「第2現役制度」という案が提起されたことが制度導入の端緒となった。この制度案は、順位戦に不出場でも棋士が現役継続可能で、順位戦の参加人数を減少させることが特徴であり、現行の「フリークラス宣言」制度の骨子となっている。また、(2)の問題を抱えていた棋士として飯田弘之の例が挙げられる。飯田弘之は現役棋士でありながら大学院での人工知能研究を行なっており、この研究により政府派遣研究員としてオランダ派遣されることになったが、この海外派遣に伴う順位戦への休場申し出に対して制度上の特例が認められず、飯田弘之は第51期順位戦で「C級2組全局不戦敗」を余儀なくされた。 これらの問題解消として、プロである将棋棋士が自ら順位戦を離れることを認める制度を設けることで順位戦参加人数の減少を図り、その一方、該当者への恩典として棋士引退となる定年までの年数を最大5年間延長させる制度を盛り込み、順位戦からの降級者が編入される「フリークラス」とは差別化したことが、「宣言フリークラス」の特徴である。
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