バックエンド・サイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 18:14 UTC 版)
「核燃料サイクル」の記事における「バックエンド・サイクル」の解説
軽水炉から取り出された使用済み核燃料には、「燃えないウラン」である非核分裂性のウラン238、ウランから生成されたプルトニウム、僅かながら「燃えるウラン」である核分裂性核種のウラン235、各種の核分裂生成物が含まれる。このプルトニウムやウラン235を抽出し核燃料として再利用すれば、単に廃棄処分することに比べ多くのエネルギーを産出できる。また、使用済み核燃料のウランやプルトニウムを取り出すことになるため、放射性物質が減少し、廃棄物の量が減ることにもなる。更にウランは比較的政情が安定した国に多いため、ウランを全面的に輸入に頼る国でもエネルギーセキュリティ上のリスクは少ないが、核燃料サイクルで核燃料の有効活用と長期使用が出来ればよりリスクを低減できることになる。 一方、核関連施設や運搬が増える為、特にプルトニウムを扱うために高いセキュリティが要求されるとの指摘もある。 バックエンドサイクルは再処理事業、濃縮事業、廃棄物管理事業、埋設事業に分けられる。 使用済み核燃料中間貯蔵 日本国内で発生した使用済み核燃料は、各原子力発電所内等で保管されている。原子力発電所外の中間貯蔵施設として、リサイクル燃料貯蔵株式会社の中間貯蔵施設(青森県むつ市)が建設中。 再処理 日本国内で発生した使用済燃料は、これまでに東海再処理施設及びフランス(ラ・アーグ再処理工場)・英国(セラフィールド)の再処理工場への委託で処理した実績がある。日本原燃六ヶ所再処理工場が、2016年03月の竣工に向け試験中。 MOX燃料加工 再処理施設で回収されるウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX燃料)は、プルサーマル発電等に使用されるMOX燃料に加工される。加工工場が青森県六ヶ所村に施設建設中。 放射性廃棄物の処理処分 高レベル放射性廃棄物、TRU廃棄物、低レベル放射性廃棄物。はそれぞれの物性に応じて段階的処分が適用される。 詳細は「放射性廃棄物#核燃料廃棄物の処理・処分」を参照 ウラン濃縮施設やウラン燃料成型加工施設から出るウラン廃棄物は、2009年3月末時点で200ℓドラム缶に換算して約10万本が保管中である。また核燃料サイクルからは外れるが、原子炉の廃炉解体に伴う廃棄物にも放射性廃棄物が含まれる。
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