ネクロノミコンの再現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 14:33 UTC 版)
「ネクロノミコン」の記事における「ネクロノミコンの再現」の解説
『ネクロノミコン』を再現しようとする試みはラヴクラフトの存命中からあり、ジェイムズ・ブリッシュがラヴクラフトに提案したこともある。『ネクロノミコン』は最低でも770ページくらいあり、それほどまでに大部な書物を著すのは自分の手に余るとラヴクラフトは1936年6月3日付の手紙でブリッシュに回答したが、『ネクロノミコン』と称する本が熱心なラヴクラフトのファン達によって実際に刊行されたことは何度かある。 1946年、ニューヨークで古書店を営んでいたフィリップ・ダシュネスがラテン語版『ネクロノミコン』を販売目録に追加して375ドルの値をつけた。そのことをウィンフィールド・タウンリー・スコットが『プロヴィデンス・ジャーナル』の記事で取り上げたため、ダシュネスは冗談を謝罪している。 1973年には、アウルズウィック・プレスが贋作と明言した上で『アル・アジフ』を出版。これは全ページをアラビア風文字の無意味な羅列で埋め尽くしただけのもので、コレクターズアイテム以上のものではなかった。 1978年、ジョージ・ヘイが、16世紀ジョン・ディー版からの翻訳というふれこみで『魔道書ネクロノミコン』を出版。序文をコリン・ウィルソンが書いている。この本には、実在しているジョン・ディーの暗号文書をコンピュータ解析によって解読したというものが載せられている。その内容は「驚くべき事に」、ジョン・ディーの時代より数百年後に描かれたラヴクラフトのクトゥルフ神話の内容と合致している。この「解読結果」が、作者や関係者のネクロノミコンに対する所見や「解読」に至るまでの経緯などと共に、「ネクロノミコン断章」と銘打たれて収められている。 詳細は「ネクロノミコン断章」を参照 リン・カーターはジョン・ディー博士に仮託して『ネクロノミコン』英語版からの「抜粋」を大量に執筆しており、それらはカーター没後の1996年にケイオシアムから刊行されたアンソロジーにまとめられている。また、2011年に学研から刊行された『魔道書ネクロノミコン外伝』に邦訳が収録されている。 それまでに出版された『ネクロノミコン』に不満を感じていたドナルド・タイスンは、2004年に『ネクロノミコン アルハザードの放浪』を出版。ラヴクラフトが作中において『ネクロノミコン』からの引用として記述した文章を全て盛り込み、より設定に忠実な再現を試みている。 他に『ネクロノミコン』のタイトルを持つ有名な書籍として、スイスのシュールレアリズム画家H・R・ギーガーが1977年に出版した作品集があり、収録作の一つ「ネクロノームIV」に描かれた異形の怪物が後の『エイリアン』のベースとなった。
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