関東以南の本州、四国、九州、屋久島などに分布します。同属にコメツガ:T.diversifoliaがあり、本州中部以北の亜高山地帯および僅かに四国、九州に分布します。モミとともに、比較的低い処で、モミ・ツガ林を形づくっています。近年、伐採もわずかなので、木材として目も触れることは、非常に少ないといえます。 ■木材 天然のツガの成長は一般にゆっくりとしているため、年輪の幅が狭く、製材品の材面は、いわゆる糸柾になっています。関西では、ツガが、建築や建具用材として好まれたとのことです。ツガの木材をカンナで削ると、材面に白い粉がみえることがあり、かっては、これが、鉱物質の結晶のためとされていましたが、近年になって、フロコソイドという有機物質であることがわかりました。古くから、ツガが鼠に噛られないといわれて来ているのも面白いことです。心材は、淡桃褐色で、やや色を帯び、辺材はやや淡色です。年輪は、はっきりみえ、粗い肌目をもっています。気乾比重は0.45~0.50 (平均値)~0.60で、針葉樹材としては重硬です。保存性は中庸で、乾燥は容易に出来ます。 ■用途 建築材、包装、車両、パルプ材、枕木、器具、長押、敷居、鴨居などがあります。かつて、パルプ工業が主として国産材を使っていたころ、モミなどと一緒に原料として用いられました。これは、一般にはあまりツガを建築用材として使う習慣がなかったからで、そのころは、スギがさかんに建築用として用いられていました。そのスギが、現在では、大量に輸入される米国産のツガと厳しい競争をしているのはご承知のことでしょう。 |