ティエント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/05/30 15:04 UTC 版)
クラシック音楽 |
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作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
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ティエント(西: tiento)は、15世紀中葉にスペインで生まれた音楽のジャンルである[1][2]。形式上はイングランド、ドイツ、ネーデルラントにおけるファンタジア、イタリアで創始されたリチェルカーレに類似する。語源はスペイン語の動詞tentar(触れる、誘う、試す)に由来し、当初はハープ、ビウエラ、チェンバロ、オルガンなどの独奏を指した。16世紀の終わり[3]までにはティエントは鍵盤楽器、とくにオルガン音楽の一分野を意味するようになった。フアン・カバニーリェスの時代に到るまでスペインのオルガン音楽の主要な様式であり、さまざまな変化形が発達した。また20世紀の多くの作曲家がティエントというタイトルで作曲している。
形式
ティエントの形式は非常に変化に富んでおり、フーガやロンドといった厳格な構造というよりは一連の傾向の集まりと言える。ほぼすべてのティエントがある程度模倣的であるが、フーガほどには複雑に発達していない。このためティエントは上述のような他の萌芽期の模倣的形式と関連付けられて来た。同様に、誕生から18世紀の衰退に至るまで大幅に進化したことから、その形式に単一の特性をあてはめることは難しい。最初期のティエント(カベソンの作品のような)は、厳格なモテット様式の対位法の広範な使用において、様式的にはリチェルカーレに極めて近い。のちには(特にカバニーリェスの作品)古い厳格対位法様式と、トッカータやある種のファンタジアに典型的な、名人芸的で感情的な装飾的表現の両者を行き来するようになる。この進化は、ひとつにはスペインのオルガンの発達に関連しており、最終的にはいくつかの変化形や下位形式を含むようになった。そのいくつかを下に挙げる。
- Tiento de medio registro
- 16世紀中期以降スペインのオルガンにしばしば見られる分割ストップを使用するティエント。標準的には全部が用いられるのに対して、オルガンの鍵盤の半分ずつを異なるパイプ群に割り当てることで、奏者は同一の鍵盤でソロと伴奏に異なる音色を使うことができた。この様式はフランシスコ・コレア・デ・アラウホ、Aguilera de Heredia、パブロ・ブルーナの作品に顕著に現れている。
- Tiento de lleno
- Tiento de medio registroとは反対に、一つの音色で演奏される。
- Tiento de falsas
- ドラマチックな効果のために不協和音を多用するティエント。Falsasとは間違った音あるいは現在の調性や旋法に含まれない音を意味する。イタリアにおけるDurezze e ligature(協和と不協和)に類似する。
- Tiento pleno
- プレリュード、フーガ、ポストリュードの3つのパートから成る変則的なティエント。他のティエントよりドイツのプレリュードに共通点がある。
作曲家
- アントニオ・デ・カベソン (1510–1566)
- António Carreira (ca. 1520/30– fl. 1587/97)
- Bernardo Clavijo de Castillo (1545–1626)
- Manuel Rodrigues Coelho (1555–1635)
- Sebastián Aguilera de Heredia (1561–1627)
- Francisco de Peraza (1564–1598)
- Gaspar Fernandes (1566–1629)
- Estacio de Lacerna (ca. 1570–after 1616)
- フランシスコ・コレア・デ・アラウホ (1584–1654)
- José Ximénez (1601–1672)
- José Perandreu (fl. mid-17th century)
- パブロ・ブルーナ (1611–1679)
- フアン・カバニーリェス (1644–1712)
- 現代の作曲家
- ジャン・ラングレー (1907–1991): Suite Médiévaleの第2楽章でティエントを用いる (1947)
- モーリス・オアナ (1913–1992): Tiento for guitar (1957)
- クリストバル・アルフテル (1930-): Tiento (1981)
- Manuel Castillo (1930-2005): Preludio, tiento y chacona (1972)
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脚注
ティエント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 06:37 UTC 版)
「アントニオ・デ・カベソン」の記事における「ティエント」の解説
ティエントはイベリア半島で誕生したポリフォニー様式の器楽であり、tastar de corde(即興的な前奏)とリチェルカーレ(即興的前奏、後に発達して厳格な模倣対位法による作曲法)に関連づけられて来た。カベソン作の29のティエントが現存している。うち14曲がLibro de cifra nuevaに収められているが、これらはすべて長い音価で書かれており、模倣対位法と非模倣的な部分が交互に現れる。通常3ないし4つの主題があり、最初の主題がもっとも展開される。非模倣的な部分では頻繁に、拡張された2重奏、オスティナートに変化して行く動機といった、当時のこの分野としてはまれな技法が用いられている。別の12曲がObras de músicaに収められており、6曲は若い頃のもの、6曲は晩年のものである。初期の作品が多くの点でLibro de cifraに収められた作品に似る一方で、後期のティエントはより短い音価、より長く特徴的な主題を用いる傾向があり、多くの特徴がバロック音楽を先取りするものとなっている。
※この「ティエント」の解説は、「アントニオ・デ・カベソン」の解説の一部です。
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