ツーシーム‐ファーストボール【two-seam fastball】
速球
ツーシーム・ファストボール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 05:54 UTC 版)
ツーシーム・ファストボール(英: Two-seam fastball)とは、ボールの縫い目 (seam) が2回 (two) 通過して投じられる球種。省略してツーシームファスト、ツーシームとも呼ばれる。 フォーシームと同様にツーシームも縫い目の向きを表す言葉だが、主に球種を表す言葉として用いられている。日本では2000年代になってフォーシーム・ファストボールと明確に区別されるようになった。 投球動作はフォーシームと同じだが、握った際のボールの向きはフォーシームを横に90度回転させた向きであり、バックスピンを掛けた時に縫い目が1周で2回通過するように握る。このように握りを変え、スピン軸を変えることで、もしくは縫い目に指を掛けないなど、指が掛かりにくい握りで投げスピン量を低下させることで、フォーシームに比べ球速は大きく変えないでシュート方向に曲げたり、沈む軌道とすることができる。また、握る際の親指の置き方でスピン軸を変化させ横に曲がるか沈めるかの調整をする投手もいる。 アメリカでは日本より縫い目が高く変化をさせやすい、過密日程により凡打を打たせて球数を減らしたい、強打者が多くフライ打球を打たれることが危険であるのに対し長打の少ないゴロ打球を打たせやすいなどの理由から、1980年代半ばから90年代以降広く活用されている。代表的な使い手としてはグレッグ・マダックスやフェリックス・ヘルナンデスがいる。 特に沈む軌道のものをシンキング・ファストボール(英: sinking fastball)と呼ぶ。これについて、アジア圏以外ではシンカー(英: sinker)と略されて呼ばれることが多いが、日本で「シンカー」と呼ばれている球種は全く別のものである。 「シンカー・スクリューボール」も参照 派生として、1本の縫い目だけに指をかけて投げる球種でワンシーム・ファストボール(英: one-seam fastball)という物も存在し、縫い目に平行に指を掛けるといった握りであるため握力が必要となり、制球も難しいが、ツーシームと同じ方向で大きい変化が得られることから、ティム・ハドソン、ジョン・レスター、ザック・ブリットン、日本人選手ではダルビッシュ有や菅野智之、松坂大輔、金子千尋、山口俊が使用している。 なお、日本独自に用いられてきた球種シュートとの違いは曖昧であり、吉井理人は、自分がMLB時代に投げていたツーシームは日本時代に投げていたシュートの呼び方を変えただけ(シュートを投げていたら同僚に「マサトはツーシームを投げるのか」と言われた)だと述べている。また、西本聖と川崎憲次郎はテレビ番組「NANDA!?」で自身のシュートの投げ方を披露しているが、どちらもツーシームとほぼ同じ握り(掌を開いた状態から戻すことでシュート回転を掛ける)であり、西本が説明した「深く握って縦回転を落として沈ませる」と言う投げ方はシンキングファストの理論そのものである[出典無効]。 また、山﨑康晃、東浜巨、九里亜蓮、薮田和樹といった、亜細亜大学硬式野球部出身の投手らが「亜大ツーシーム」と称する球を投げているが、これは先輩である東浜が本来であれば「シンカー」として投げる球種を後輩らに教える際に「ツーシーム」と誤って伝えてしまったことによるものであり、特に山崎や薮田が投じるものはスプリット・フィンガード・ファストボールに近い変化をする。 「シュート (球種)」も参照
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