タブレット閉塞式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 14:02 UTC 版)
票券閉塞式に代わって使われ出したのがタブレット閉塞式である。国鉄では通票閉塞式と呼んでいた。 タブレット閉塞式は、両側の駅に複数の通票(タブレット)を納めたタブレット閉塞機を設置し、閉塞機から通票を取出して閉塞を行う方式である。まず、両駅で信号取扱者の駅員が電鍵と閉塞用の専用電話により閉塞の打ち合わせを行い、両駅のタブレット閉塞機を決められた手順で操作すると、タブレット閉塞機の検電器の針が、出発駅側は中立から全開、到着駅側が中立から半開に振れ、この状態でタブレット閉塞器の解錠ボタンを押すと出発駅側は下部引手が全開となりタブレットを取り出すことができるが、到着駅側は下部引手が半開となりタブレットを取り出すことができない状態となり閉塞が完了する。その後、出発駅側のタブレットを駅員がカバンキャリアの中に収めて、カバンキャリアを列車の運転士に持たせてから出発駅を出発する。その後、到着駅に列車が到着すると運転士がカバンキャリアを駅員に渡して、中のタブレットを取出し、再度両駅で電鍵と閉塞用の専用電話により閉塞解除の打ち合わせを行い、両駅のタブレット閉塞機を決められた手順により操作して、両駅のタブレット閉塞機の検電器の針が中立の位置に戻り閉塞が解除され、タブレットを到着駅側のタブレット閉塞機の上部引手に収め、両駅のタブレット閉塞機の下部引手を閉める。つまり、1つの駅間でタブレットは1つしか出ておらず、タブレットを閉塞機に収めるまでは到着駅側の閉塞機からタブレットを取出すことができないシステムになっている。よって、タブレットを持っていない列車は出発できないようにすることで閉塞が実現する。また、列車の出発駅を変更する時(列車の進行方向を変える)には再度両駅で打ち合わせをした後、両駅のタブレット閉塞機を決められた手順で操作すれば、その出発駅の閉塞機からタブレットを取出すことができるので、票券閉塞式の一番の問題点を解決することができる。 なお列車到着後、直ちに対向列車を進出させる場合にはタブレット(通票)の折り返し使用が認められていて、タブレットを閉塞器に戻すことなく対向列車の運転士に渡すことができる。この取り扱いを行う場合は両停車場の閉塞器にタブレット(通票)の折り返し使用中と記された標識を掲示する。また各駅間のタブレット閉塞機には他の駅間のタブレットを収めることができないようになっている。 受け渡しを行う駅を列車が通過する場合、運転士は通過の際に速度を落とし、運転士又は運転助士が現在持っているタブレットの入っているキャリアをホームの末端にある通票受器にタイミングを合わせて引っ掛けて走り抜け、ホーム先端にある通票授器からタブレットキャッチャーで自動回収するか、または手で拾い上げて通過する。受け取りに失敗すると、タブレットを持たずに次の閉塞区間に進入してしまうことになるため、当然ながらその際には列車をいったん停車させてタブレットを拾いに出なければならない。 JRの旅客営業線でタブレット閉塞式を使用していた最後の路線は、只見線の会津坂下駅 - 会津川口駅間(会津川口駅 - 只見駅間は休止中)であったが、2012年9月22日をもって終了し、翌日から特殊自動閉そく式に切り替えられた。これを最後に、タブレット閉塞式を採用している路線はない。 第3セクター鉄道では、由利高原鉄道鳥海山ろく線(前郷‐矢島間)、くま川鉄道湯前線(人吉温泉‐あさぎり間)で運用されている。由利高原鉄道の前郷-羽後本荘間はスタフ閉塞となるため、前郷駅では上下列車の交換の際にタブレットとスタフ交換が行なわれる。(旅客列車からも見ることができる。) タブレットの入ったカバンキャリアを運転士に渡す駅員 通票受器にタブレットの入ったカバンキャリアを引っ掛ける通過列車の運転士 通票授器からタブレットの入ったカバンキャリアを受け取る通過列車の運転士 タブレット閉塞で使用されるタブレット(通票)閉塞機(京都鉄道博物館所蔵) タブレット閉塞機からタブレットを引き出す様子(津山まなびの鉄道館所蔵) 路面電車での使用例信号所で離合する列車がタブレットの入ったカバンキャリアを交換する光景。(土佐電気鉄道伊野線、八代信号所) 閉じた状態のタブレットキャッチャー(キハ22形気動車) 通過駅を展開状態で通過し、ケースに収納されたタブレットを自動回収した。 由利高原鉄道前郷駅で現在も行われているスタフとタブレット交換
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