セゾン文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 03:04 UTC 版)
バブル期は、堤清二が率いるセゾングループが、セゾン文化と呼ばれる消費文化を牽引した。当時、大人は西武で、若者はパルコで買い物をするのが一種のステイタスになっていた。グループ内の西武百貨店やパルコのほかには、セゾン美術館、銀座セゾン劇場、パルコ劇場、ロフト、無印良品、アール・ヴィヴァンなどがあり、単にモノを売るだけではなく、文化やイメージを売るというスタイルは「イメージ戦略」と呼ばれ、当時は斬新とされた。渋谷公園通りがオシャレで、この通りに近い西武やパルコは、当時の修学旅行生の観光地にもなっていた。 現在の六本木ヒルズメトロハットの場所には、CD・レコード専門店「WAVE」があり、コンテンポラリー・アートと音楽の店で、青山ブックセンターと並び称された「アール・ヴィヴァン」と共に、若者や文化人に定評があった。 シブヤ西武(後の西武渋谷店)SEED館には伝説のショップ「カプセル」を設置し、デビュー間もない川久保玲(コム・デ・ギャルソン)、山本寛斎、イッセイミヤケ、タケオキクチら、新進のデザイナーズブランドを展示した。糸井重里の「じぶん、新発見。」「不思議大好き。」「おいしい生活。」などのキャッチコピーや、ハドソン川を内田裕也がスーツ姿で泳ぐバージョンなど、パルコの斬新なCMはしばしば話題になった。また過剰なまでに消費が旺盛だったバブル期にあって、過剰な意味や装飾性を削ぎ落した無印良品はかえって新鮮だった。バブル期のセゾン文化はラディカルなものではなく、首都圏では一般に浸透していた。 ただし「カプセル」がオープンしたのは1970年、糸井重里のキャッチコピーはは1981〜1983年、内田裕也のCMは1985年で、いずれもバブル景気以前のことである。石岡瑛子、長沢岳夫などを起用した、インパクトのあるイメージと挑発的なコピーのポスター・CMの多くも1970年代〜1980年代前半のものである。美術館、劇場、出版事業等も1970年代から手がけており、堤清二はセゾングループの文化戦略のピークは1975年〜1982年頃だと語っている。そして無印良品も1980年に西友のプライベートブランドとして始まったもので、こちらもバブル景気以前のことである。 元は同じグループだった西武鉄道グループのプリンスホテルやスキーリゾート、そして「としまえん」のCMも脚光を浴びた。また西武鉄道・セゾングループのライバルだった東急グループでは東急ハンズが脚光を浴びた。
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