ジョギングと死
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/06 00:37 UTC 版)
ジム・フィックス(Jim Fixx)は、ジョギングが流行する契機を作った人物として知られる。彼は1977年に『The Complete Book of Running』(邦題:『奇蹟のランニング』)を出版し、この著書は100万部を超える売り上げを記録した。彼は著書の中でも、トーク・ショーに出演した際にも、運動することで寿命を大幅に延ばせる、として運動の利点を強調し、褒めそやしていた。 しかし、そのフィックス自身がジョギングに励んでいる最中に心臓発作を起こして倒れ、そのまま死亡しており、運動は身体や臓器に負担をかける。東イリノイ大学の教授で運動生理学とマラソン生理学の専門家、ジェイク・エメット(Jake Emmett)はジム・フィックスの死について、「彼の死は、走る行為は冠状動脈性心疾患(Coronary Artery Disease)を防げないだけでなく、突然死を招く可能性が出てくることを世界中に確信させた」と書いている。 ジョギングの最中およびジョギングを終えた直後に冠状動脈性心臓病(Coronary Heart Disease)で死亡する例は決して珍しいものではない。精良な運動能力が運動中の死亡事故から身体を保護することを示す証拠は無い。 走っている最中に死亡した40歳以上の人間の死因の多くは冠状動脈性心臓病である。10年間で22 - 176km、週に平均で53kmの距離を走っていた40 - 53歳(平均年齢46歳)の5人の白人ランナーが走行中に突然死し、その剖検によれば、ランナーとして走るようになる前に心臓病を患っていた者は1人もいなかった。 体育館にてトレッドミルを使って走っていた57歳の男性が、その最中に突然死亡した。彼の死因は「虚血性心疾患」(Ischemic Heart Disease)であった。研究者らは「身体活動を不定期に行う人は、そうでない人に比べて突然死の危険が高い」「極端な身体活動は、たとえ以前にその症状が無かったとしても、心臓に致命的な結果をもたらす可能性がある」と報告している。 ケープタウン大学の教授で運動生理学とスポーツ医学の専門家、ティム・ノークス(Tim Noakes)は、運動中の突然死について、「50歳以上の人は、あらゆる種類の運動を開始する前に、心血管の診断を受ける必要がある。50歳未満の人でも、突然死した人物の家族歴について面談を行い、心血管疾患の症状とその臨床徴候についての診断を受ける必要がある」「肥大型心筋症を患っている場合、運動中に死亡する危険が高くなる」「アスリートたちは運動中の心臓病の発症を予防できるとは限らない」と書いている。 度が過ぎる運動はミトコンドリア(Mitochondria)の機能障害を惹き起こし、耐糖能(Glucose Tolerance, 上昇した血糖値を下げる、血糖値を正常に保つ能力)も低下させてしまう。
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