シェルターの機能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/11 01:20 UTC 版)
シェルターには、防火・遮蔽・気密などの機能が求められる。攻撃によって起こった社会的混乱から、身を隠す意味も持つ。 核兵器を想定するならば、一次放射線や爆風を避けることのほか、散らばった放射性降下物や、そこから発せられる二次放射線による被曝を避けることが目的である。放射線遮蔽機能は、周囲をコンクリートで覆う・地下深いところに設置するなどでそれを実現する。出入り口には、遮蔽効果の高い金属製の厚いドアが用いられる。また、環境を汚染して人体に害を及ぼす放射性物質などを内部に入れてはならないため、気密性がもっとも重要視される。特に出入り口はゴムパッキンなどで密閉しなければならない。それでも利用者の呼吸のためには換気が必須であり、換気装置には高性能な濾過機能を持ったフィルタを取り付けて安全な空気を外部から供給する。 こういった設備を稼動させるためには電力の確保も必要だが、外部からの電力供給に頼っていては大規模な攻撃や災害の際には全く役に立たなくなる。このため、自家発電設備を備えるほか、それら発電機の燃料などの備蓄も必要である。例えばディーゼルエンジンなら、普段は家屋の暖房に使っている燃料をそのまま流用できるかもしれない。ただ最悪の場合では、これら電源用の動力源が切れた場合を想定し、空気の濾過器や外部に通じる扉などには人力で動作させられる安全装置が組み込まれる。 シェルターの中は避難生活を送れるだけの環境が必要である。核災害を想定するならば、地上にばら撒かれた化学兵器の有毒成分が分解したり放射性物質が十分に崩壊し、放射線量が安全なレベルに低下するまでの期間をシェルター内でやり過ごす必要がある。その備えとして、非常食や水、薬品など、最低限命をつなぐための物品を置いておくことがある。また、放射線防護服などいよいよ1か所に留まっていられないほど危機的な状況に備え、防護措置を備える場合もある。
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