ザ・神宮前レジデンスとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > ザ・神宮前レジデンスの意味・解説 

原宿団地

(ザ・神宮前レジデンス から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/27 15:33 UTC 版)

解体前の原宿団地

原宿団地(はらじゅくだんち)は、東京都渋谷区にかつて存在した住宅団地である。日本住宅公団が開発・分譲したが、老朽化のために高層マンションへの立て替えが決定、2010年平成22年)までに閉鎖された。本項では跡地に完成した「ザ・神宮前レジデンス」についても記載する。

概要

正式名称は「原宿住宅マンション」で、公団が分譲した住宅では最も古いものの1つとして1957年昭和32年)に竣工した[1]。約5400平方メートルの敷地に4階建てと5階建ての中層住宅が6棟建てられ、総戸数は112戸[1]。いずれも間取りは2DK、広さは35-37m2だった[2]神宮球場まで歩いて5分、東京メトロ銀座線外苑前駅まで歩いて10分の都心に近い一等地に所在した[1]

住棟配置の設計は津端修一。「(自身が師事した)アントニン・レーモンドが手がけたような、全ての部屋に緑の風と光が行き渡る、ガラス張りのコアのある住宅を市民たちにプレゼントしたい」というテーマでの設計であったという。

基本データ

  • 所在 - 東京都渋谷区神宮前三丁目(住居表示変更前の住所は原宿一丁目)
  • 構成 - 6棟から構成、全112戸
    • 中層フラット棟 - 4棟(4階建て、北廊下型)(2、3、4、5号棟)
    • スターハウス - 2棟(5階建て)(1、6棟)
  • 竣工 - 1957年
  • 閉鎖 - 2010年

建て替え計画

解体中の様子

昭和50年代半ばともなると、当時の文化住宅もあっという間に手狭となり、二世代がゆとりをもって暮らせる住宅を夢に描き、建替えへの挑戦が始まった[3]

原宿住宅の管理組合は1982年(昭和57年)6月、住宅・都市整備公団東京支社に建て替えを検討するよう依願し[1]、これを受け公団は居住者らの作った建て替え協議会と相談しながら3年がかりで計画を煮詰め、総工費を30億円。道路側に10階建ての事務所兼住宅ビルを建て、その裏に中層住宅を建てる。これにより持ち主のスペースは約1.5倍となり、工費は高層化で増えた床を売却、または賃貸してまかなうとの案をまとめた[1]

当時、持ち主の3分の1はすでに家を他人に貸し、自分はより広く新しい家に移っていた。この人たちの関心は再開発でどんな住宅ができるか、ではなく、自分の持ち家をどれだけ高く処分できるかにあった[1]。公団は計画をもとに、持ち主らに権利変換について説明会を開くが、一部の持ち主が「民間に任せた方が有利な条件で処分できる」と計画に反対。建て替えに必要な、持ち主の5分の4の賛成の確保ができなくなり、公団が全国初のモデルケースとして東京の都心部で進めていた建て替え計画は地価高騰のあおりで宙に浮き[1]、実現に至らなかった[3]

2005年(平成17年)に建て替え計画は再スタートし[3]、権利者が区分所有法第70条に基づく団地内の建物の一括建て替え決議を行い、マンション円滑化法等の法律に則り[3]、従来の団地6棟を地上19階建てのマンション1棟に立て替え、住戸数を従前の倍の220戸とし、建て増し部分を一般に分譲する計画を確認し[4]2011年(平成23年)5月に着工した[3]

総合設計制度を用いての幅50メートル、高さ60メートルという大型マンションを建築するこの計画については近隣住民が反対し、着工前の2010年(平成22年)1月、住民ら11人が東京都が高さ制限を緩和したのは違法だとして、東京都に許可取消しを求める訴訟東京地方裁判所に起こした[5]。しかし翌年9月30日、同地裁は住民側の請求棄却している[6]

ザ・神宮前レジデンス

ザ・神宮前レジデンス
施設情報
所在地 東京都渋谷区神宮前三丁目37番1号
状態 完成
着工 2011年5月[3]
竣工 2013年7月[3]
用途 共同住宅[3]
地上高
高さ 59.97m[3]
最上階 18階[3]
各種諸元
階数 地下2階地上18階[3]
敷地面積 5,176.40 [3]
建築面積 2,299.99 [3]
延床面積 26,517.49 [3]
構造形式 RC造
杭・基礎 パイルドラフト基礎、杭基礎[3]
エレベーター数 非常用1基、乗用6基[3]
戸数 220戸[3]
駐車台数 93台[3]
関連企業
設計 竹中工務店[3]
構造エンジニア 竹中工務店[3]
施工 竹中工務店[3]
デベロッパー 原宿住宅マンション建替組合[3]
テンプレートを表示

当該再開発物件は『ザ・神宮前レジデンス』と命名され[7]、総戸数220戸のうち地権者分72戸を除いた148戸が共同開発した新日鉄都市開発三井物産NTT都市開発により売り出され、最多価格帯は1億2000万円台に設定[8]2012年(平成24年)春に販売を開始し[2]、2013年(平成25年)7月竣工した[3]

マンションは外苑西通り(キラー通り)に面するタワーサイド、住居系地域側に面するレジデンスサイドの2つのゾーンで構成され[3]、専用住戸の開口部サッシュはLow-Eガラスを採用し高断熱性能を確保するとともに、給湯器潜熱回収型を採用し、省エネルギー向上に努め、住宅性能評価省エネルギー等級についても等級4を取得した[3]。併設の駐車場・駐輪場は地下に設置[3]。建物は耐火構造とすることはもとより、制震部材を採用し地震に対しての安全面に配慮している[3]

広場空間には3mから8mの高木を約150本を植栽し、壁面緑化とともに敷地面積の約30%を緑化。また広場への植栽は、渋谷区への提供公園と一体としながら、奥行きのある緑のボリュームが空間にリズムをつけ、四季の移ろいを感じさせる場を提供している[3]。この広場空間は一時避難ができる防災拠点を目指し、災害時に利用できる井戸マンホールトイレも設けた[3]

交通

周辺の名所・公共施設など

脚注

  1. ^ a b c d e f g 「公団より民間? 原宿の分譲団地建て替え計画難航 地価高騰が影響」『朝日新聞』23頁 1985年8月9日
  2. ^ a b 『日本経済新聞』 2011年5月27日朝刊
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 「(仮称)原宿住宅マンション建替事業施行再建マンション計画 ザ・神宮前レジデンス」『近代建築』2014年3月号 p.108 - 111
  4. ^ 「マンション再生 高層化で」 『日本経済新聞』 2011年1月23日 夕刊1面
  5. ^ 「渋谷・原宿団地 高さ制限緩和は違法 周辺住民ら都を提訴」『読売新聞』都民版 26頁 2010年1月23日
  6. ^ 「高さ制限緩和適法 住民側の請求棄却 東京地裁」『読売新聞』都民版 31頁 2011年10月1日
  7. ^ 「平成24年3月上旬販売開始予定」 『ザ・神宮前レジデンス』 予告広告 平成23年9月配布
  8. ^ 「新日鉄都市開発など、東京・原宿に高級マンション」『日経産業新聞』16頁 2012年3月15日

参考文献

  • 『近代建築』2014年3月号

関連項目


ザ・神宮前レジデンス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 04:51 UTC 版)

原宿団地」の記事における「ザ・神宮前レジデンス」の解説

当該再開発物件は『ザ・神宮前レジデンス』と命名され、総戸数220戸のうち地権者72戸を除いた148戸が共同開発した新日鉄都市開発三井物産NTT都市開発により売り出され最多価格帯1億2000万円台に設定2012年平成24年春に販売開始し2013年平成25年7月竣工したマンション外苑西通りキラー通り)に面するタワーサイド、住居地域側に面するレジデンスサイドの2つゾーン構成され専用住戸開口部サッシュLow-Eガラス採用し高断熱性能確保するとともに給湯器潜熱回収型を採用し省エネルギー向上に努め住宅性能評価省エネルギー等級についても等級4を取得した併設駐車場・駐輪場地下設置建物耐火構造とすることはもとより制震部材採用し地震に対して安全面配慮している。 広場空間には3mから8m高木を約150本を植栽し壁面緑化とともに敷地面積の約30%を緑化。また広場への植栽は、渋谷区への提供公園と一体としながら奥行きのある緑のボリューム空間リズムをつけ、四季移ろい感じさせる場を提供している。この広場空間一時避難ができる防災拠点目指し災害時利用できる井戸マンホールトイレ設けた

※この「ザ・神宮前レジデンス」の解説は、「原宿団地」の解説の一部です。
「ザ・神宮前レジデンス」を含む「原宿団地」の記事については、「原宿団地」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ザ・神宮前レジデンス」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ザ・神宮前レジデンス」の関連用語

ザ・神宮前レジデンスのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ザ・神宮前レジデンスのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの原宿団地 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの原宿団地 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS