サーブ・9-3
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/09 03:41 UTC 版)
9-3 (ナイン・スリー)は、サーブが製造・販売していた自動車である。
歴代モデル
初代 (1998-2002年)
9-3 | |
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9-3 ハッチバック
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9-3 コンバーチブル
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9-3 ビゲン
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概要 | |
製造国 | ![]() ![]() |
販売期間 | 1998-2002年 |
ボディ | |
乗車定員 | 2/5名 |
ボディタイプ | 3/5ドアハッチバック 2ドアコンバーチブル |
駆動方式 | FF |
パワートレイン | |
エンジン | ガソリン: 2.0/2.3L I4 ディーゼル: 2.2L I4 |
変速機 | 5MT 4AT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,605mm |
全長 | 4,630mm |
全幅 | 1,710mm |
全高 | 1,425mm (ハッチバック) 1,420mm (コンバーチブル) |
最大積載量 | 1,410kg |
系譜 | |
先代 | サーブ・900 |
初代は1992年から製造販売されていた「サーブ・900」(二代目)をマイナーチェンジして名称変更したものである。900時代同様、3/5ドアのハッチバックと2ドアカブリオレが選択可能であった。マイナーチェンジでの設計変更箇所は1600に及び、乗り心地、操縦性、衝突安全性(頭部を保護するサイドエアバッグやアクティブヘッドレストを採用)が改善された。また、低圧ターボ仕様やサーブ初のディーゼルエンジン搭載車(エンジンはオペル・ベクトラ用)も追加された一方、最強モデルとして2300ccターボエンジンを225馬力に強化し、最高速度250km/h、0-100m/h加速6.4秒の「ビゲン(Viggen)」(サーブ 37 ビゲン戦闘機にちなんで命名) も生産された。
2代目 (2003-2014年)
9-3 | |
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スポーツセダン(2008年以降型)
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カブリオレ(前期型)
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スポーツエステート(2008年以降型)
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概要 | |
製造国 | ![]() ![]() |
販売期間 | 2002-2011年3月 2013年12月-2014年5月 |
ボディ | |
乗車定員 | 2/5名 |
ボディタイプ | 4ドアセダン 5ドアワゴン 2ドアコンバーチブル |
駆動方式 | FF AWD |
パワートレイン | |
エンジン | ガソリン: 1.8/2.0L I4 2.8L V6 ディーゼル: 1.9/2.2L I4 |
変速機 | 5/6MT 5/6AT |
サスペンション | |
前:独立 マクファーソンストラット コイル 後:独立 マルチリンク コイル |
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車両寸法 | |
ホイールベース | 2,675mm |
全長 | セダン/コンバーチブル: 4,635mm (03-07) 4,645mm (08-14) ワゴン: 4,655mm (03-09) 4,690mm (10-14) |
全幅 | 1,750-1,800mm |
全高 | セダン: 1,445mm (03-07) 1,450mm (08-14) ワゴン: 1,540mm (03-07) 1,530mm (08-14) コンバーチブル: 1,435mm (03-07) 1,440mm (08-14) |
車両重量 | 1,410-1,690kg |
その他 | |
姉妹車 | オペル・ベクトラ キャデラック・BLS |
二代目は2002年に北米国際オートショーで発表された。最も顕著な変化はハッチバックを止めて通常の4ドアセダンとなったことである。V型6気筒に続き、直列4気筒エンジンも長年改良を重ねて用いられてきたサーブ自社設計のものから、GMのエコテック系列のものに換えられた。グレード構成は低圧ターボエンジンのベーシックモデルが「リニア」、その上級グレードが「アーク」、アークより装備が追加された「ヴェクター」、高圧ターボエンジンを積むスポーティモデルが「エアロ」となった。二代目9-3は同時期に新型となったオペル・ベクトラと共に、GMの新しいプラットフォーム・イプシロンを用いた最初のモデルとなった。
2005年にはハッチバックの廃止に対応すべく5ドアワゴン(市場によってスポーツコンビ(SportCombi)またはスポーツエステート等と呼ばれる)が追加され、カブリオレも新型に移行した。同時にアクティブヘッドレストの改良(SAHR IIと呼ばれる)やサスペンションの改良が実施された。2007年モデルイヤーにはダッシュボードのデザインが変更され、エアコン操作パネルがボタン式からダイヤル式に改良されている。
2008年型では2,000箇所以上に渡る変更が施され、ヘッドランプ、ボンネットを含むフロント周りのデザインも大幅に変更、テールランプもクリアレンズへと変更された。ドアパネルも変更され、ドアノブの形状が変わっている。 XWD(4WD)を採用した限定モデルの「ターボX」も発売された(世界全体で2000台、そのうち日本へは30台【セダン20台・エステート10台 いずれも6速ATのみ】が割り当てられた)。
2009年3月のジュネーブショーではXWD(4WD)を採用したワゴンのクロスカントリー型「9-3X」が出品されたが、親会社GMの経営危機とサーブ社自体の経営悪化のために発売されたのは、2010年2月にオランダのスパイカー・カーズの傘下でサーブ・スパイカー・オートモービルズとして再出発した後である。そして同年9月から日本にも正規輸入されている。
2011年にはGMからの「独立1周年」を記念した「インディペンデンス・エディション」をカブリオレに設定し、全世界で366台限定(日本向けは3台)で発売した。
2011年3月、サーブは資金繰りの悪化により車両の生産を停止し、同年12月には破産を申請した[1]。
2013年12月にはサーブの新たな親会社となったナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン(NEVS)が、スウェーデンのトロルヘッタン工場で2年半ぶりに9-3セダンの生産を再開したが、2014年5月には再び生産を停止[2]。8月28日にNEVSは破産を申請した[3]。
2016年6月21日、NEVSは翌年に発売する9-3をベースとしたEVについて、サーブの名を使用せずNEVSブランドで発売すると発表。サーブの母体であるスウェーデンの航空機・軍需品メーカーSAABがNEVSに対してサーブのブランド名を使用することに難色を示しており、SAABの意向を反映したものとされる[4]。2017年12月には、中国の天津工場で「NEVS 9-3 EV」がラインオフした[5]。
日本への正規輸入
初代の発売当初はヤナセによって輸入販売されていた。その後ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAPJ)が輸入元となり、全国のヤナセやGMAPJによる独自ディーラー(キャデラック・シボレー・ハマー併売店)で販売された。スパイカー・カーズへのブランド売却後は、GMAPJでの輸入販売を終了することになった。そこで2010年7月15日にVTホールディングスのグループ会社「ピーシーアイ株式会社」が正規輸入権を取得し、同年9月1日より輸入販売業務を開始した。なお、従前の販売網はそのまま継続されている。
9-3がデビューした1998年には上級の9-5と合わせて2,328台あったサーブ車の新規登録は、2008年にはその一割の238台にまで縮小している。
脚注
- ^ “ピーシーアイ、サーブ車の販売を終了”. Web CG. (2012年1月6日) 2023年3月24日閲覧。
- ^ “サーブ、再び生産停止…9-3 の生産再開から半年”. Response. (2014年5月21日) 2023年3月24日閲覧。
- ^ “サーブ の親会社、NEVS 社の破産申請…裁判所が承認”. Response. (2014年9月1日) 2023年3月24日閲覧。
- ^ “日本でもお馴染みのサーブブランドが消滅。来年からEVのNEVSに”. Response. (2016年6月26日) 2023年3月24日閲覧。
- ^ “サーブ 9-3 がEVで復活…量産第一号車がラインオフ、年産22万台目指す”. clicccar. (2017年12月7日) 2023年3月24日閲覧。
関連項目
参考文献
- Gazoo名車館 サーブ2.0t (1998年)
サーブ・93
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サーブ・93はスウェーデンの航空機メーカー・サーブの自動車部門(現サーブ・オートモービル)が1956年から1960年まで製造した乗用車である。サーブ・92の改良型として、2サイクルエンジン、前輪駆動方式、シクステン・セゾンによる空力的な車体デザインを継承しつつ、各部に改良が加えられた。
概要

エアクリーナーはノンオリジナル
2サイクルエンジンはDKW出身の技術者によって開発された新しい直列3気筒となり、搭載方法も縦置きに改められ、デフが車体中心線上となった。排気量は748ccと92よりやや小さくなったが、最高回転数が上がったため、最高出力は33馬力に強化された。スロットル(アクセルペダル)全閉時のエンジン焼きつきを防ぐフリーホイール機構(ワンウェイクラッチ)も引き続き採用されているが、室内にノブが設けられ、走行中でも無効・有効の切り替えが可能となった。
ラジエーターの位置は相変わらずバルクヘッド側で、冷却水の循環も対流式のままであった。これらは寒冷な気候の北欧では非常に都合が良かったが、輸出先の気温が高い地域では、特に低速時のオーバーヒートが問題となった。
デザイン的には縦型の大きなラジエーターグリルと、拡大されたリアウインドウが特徴となっている。サキソマット自動クラッチ、キャンバストップも選択可能であった。
海外への輸出も93の代になって本格化し、アメリカ合衆国にも多数が輸出された。ただし当時の日本は外国車輸入が厳しく制限された時期に当たり、サーブの輸入は途絶えていた。
モデルの変遷
1957年型からは前席2点式シートベルトがオプションで装備可能となった。同年9月には改良型の「93B」が登場し、フロントウインドシールドが二分割式から一枚ガラスに変更された。1959年後半には再び改良を受けた「93F」となり、ドアが「GT750」と同じ前ヒンジに改められた。また、同年にはワゴンの95も追加されている。
1960年には後継モデルの96が登場するが、93も継続生産され生産を終了した。累計生産台数は52,731台。
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左:1959年型 93B 中:GT750のインパネ 右:GT750のシート |
モータースポーツでの活躍

軽量、高い車体剛性、優れたロードホールディング性や空力特性を生かし、小排気量ながらモータースポーツでも大きな成功を収めた。
名手エリック・カールソンの運転により、 1957年のラリー・フィンランド・1959年のスウェディッシュ・ラリーに優勝するなど、93は特に北欧圏のラリーで活躍し、サーブという新しいメーカーの名を高めた。
また、1957年の ミッレミリア750ccクラス優勝、1959年のル・マン24時間レースでのクラス2位・総合12位入賞など、耐久レースでも好成績を残している。
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