コープレイとは? わかりやすく解説

コープレイ【kouprey】

読み方:こーぷれい

《「クープレイ」とも》ウシ科哺乳類野生ウシ類の一種インドシナタイ国境に分布頭胴長2〜2.2メートル体重700900キロ絶滅の危険がある。


コープレイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/09 05:51 UTC 版)

コープレイ
コープレイ
Bos sauveli
保全状況評価
CRITICALLY ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱 Theria
: 偶蹄目 Artiodactyla
亜目 : 反芻亜目 Ruminantia
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ウシ亜科 Bovinae
: ウシ属 Bos
: コープレイ B. sauveli
学名
Bos sauveli
Urbain, 1937
英名
Grey ox
Kouprey

コープレイ(Bos sauveli ) は、哺乳綱 偶蹄目 ウシ科 ウシ属に分類される偶蹄類ウシ族)である。かつてはカンボジア北部のほか、ラオス南部、ベトナム西部、タイ東部の森林に分布していたが、2007年現在ではカンボジアに約250頭が生息するか(近絶滅種)、実質的に絶滅状態にあるとされている。

分類

本種は1937年フランスの生物学者アシーユ・ユルバン (Achille Urbain) によりカンボジアで発見され、生体がヴァンセンヌ動物園へと移送されて模式標本となった[1]。その後、本種が分類学的に独立したか否かは形態学的な見地から長く議論が行われ、他のウシ属動物との雑種説、別属 (Novibos) 説、分断種分化したバンテン説、野生化した家畜説、などが提出されてきた。

2004年になって、DNAの分析より本種は独立した野生種であるとの報告が行われた[2]。この説に対し、ミトコンドリアDNA の比較から、コブウシバンテンの雑種が野生化したものであるという反論[3]が2006年に行われた。2007年時点では、より広範囲に行われた DNA分析 [4]および化石の検討[5]から、独立種であるという見解が主流になっている[6]

現生のウシ族では、ガウルBos gaurus)およびバンテンBos javanicus)と比較的に近縁とされる。2021年に発表された現生ウシ族の遺伝上の関連性は以下の通りになる[7]

スイギュウ亜族英語版Bubalina

アジアスイギュウ(Bubalus arnee英語版)+スイギュウB. bubalis)&アフリカスイギュウSyncerus caffer)+フォレストバッファロー英語版S. c. nanus

ウシ属Bos

オーロックスBos primigenius)+ウシB. taurus)+コブウシB. p. indicus

ノヤク英語版Bos mutus)+ヤクB. grunniens

バイソン属(Bison

アメリカバイソンBison bison

ヨーロッパバイソンBison bonasus

バンテンBos javanicus)+バリ牛(B. domesticus英語版

ガウルBos gaurus)+ガヤル英語版B. frontalis

コープレイBos sauveli

形態

ガウルバンテンと比較すると小型であり、肩高170 - 190センチメートル体重700-900キログラム程度になる[8]。メスよりもオスの方が大型になる。他のウシ属に比べ細身であり、脚と尾は長い。背にはコブがあるが、コブウシほど発達してはいない。体色は茶褐色から灰色、または黒。年を取ったオスの方が体色は濃いが、脚の下部は雌雄共に白い。また、オスの首には肉垂がある。

オス・メス共に発達したを持ち、メスは上に螺旋を巻いた琴型、オスは前に突き出し広がったアーチ型をしている。鼻に溝がある。

生態

背の低い森が部分的に広がる丘に住み、昼行性で、昼間は森、夜は開けた土地で草を食べる。普段はメスと子供だけからなる20頭ほどの群れをつくって生活するが、乾季にはオスも行動を共にする。

人間との関係

コープレイはカンボジア王国の象徴と見なされている[9]

1937年カンボジアで初めて発見された[10]。1937年の発見時においても 1000頭前後しか生息していなかったと考えられているが、住民や兵士による狩猟家畜からの伝染病、生息域の減少などのためさらに数が減少し、最後の確実な目撃は1983年であり、2007年現在では250頭程しか生存していないか絶滅してしまったとみられる。

2005年にはカンボジアの象徴となる哺乳類と定義された[9]

脚注

  1. ^ Francois Edmond-Blanc, "A Contribution to the Knowledge of the Cambodian Wild Ox or Kouproh", J. Mammalogy 28, 245-248 (1947). doi:10.2307/1375175
  2. ^ A. Hassanin, A. Ropiquet, "Molecular phylogeny of the tribe Bovini (Bovidae, Bovinae) and the taxonomic status of the Kouprey, Bos sauveli Urbain 1937", Molecular Phylogenetics and Evolution, 33, 896-907 (2004)doi:10.1016/j.ympev.2004.08.009
  3. ^ G. J. Galbreath, J. C. Mordacq, F. H. Weiler, "Genetically solving a zoological mystery: was the kouprey (Bos sauveli) a feral hybrid?", J. Zool. 270, 561?564 (2006).doi:10.1111/j.1469-7998.2006.00188.x
  4. ^ Alexandre Hassanin, Anne Ropiquet, "Resolving a zoological mystery: the kouprey is a real species", Proc. R. Soc. B 274, 2849-2855 (2007). doi:10.1098/rspb.2007.0830
  5. ^ G. J. Galbreath, J. C. Mordacq, F. H. Weiler, "An evolutionary conundrum involving kouprey and banteng: A response from Galbreath, Mordacq and Weiler", J. Zool. 271, 253?254 (2007).doi:10.1111/j.1469-7998.2007.00317.x
  6. ^ Ewen Callaway, "Mystery ox finds its identity", Nature 449, 124 (2007). doi:10.1038/449124a
  7. ^ Sinding, M.-H. S.; Ciucani, M. M.; Ramos-Madrigal, J.; Carmagnini, A.; Rasmussen, J. A.; Feng, S.; Chen, G.; Vieira, F. G. et al. (2021). “Kouprey (Bos sauveli) genomes unveil polytomic origin of wild Asian Bos”. iScience 24 (11): 103226. Bibcode2021iSci...24j3226S. doi:10.1016/j.isci.2021.103226. PMC 8531564. PMID 34712923. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8531564/. 
  8. ^ Kouprey”. Ultimate Uungulate. 2023年6月21日閲覧。
  9. ^ a b Royal decree, numbered NorSar/RorKarTar/0305/149, dated March 21, 2005 on definition on fauna and flora as national symbols of the Kingdom of Cambodia
  10. ^ A. Urbain, "Le kouprey ou boeuf gris Cambodgien", Bull. Soc. Zool. Fr. 62, 305-307 (1937)

参考資料

外部リンク

  • ウィキメディア・コモンズには、コープレイに関するカテゴリがあります。
  • ウィキスピーシーズには、コープレイに関する情報があります。



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