コンピュータと人類の対戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 17:32 UTC 版)
「オセロ (ボードゲーム)」の記事における「コンピュータと人類の対戦」の解説
コンピュータオセロの開発が始まってから3年後の1980年、オセロ・プログラムのムーア (Moor) が当時の世界チャンピオン・井上博と対戦し、1勝を挙げた(6番勝負で1勝5敗)。1982年には森田和郎の開発した森田オセロが全日本選手権2位の北島秀樹ら強豪プレイヤーたちが集う大会にゲスト参加して6戦全勝で優勝した。その後、ハードウェアの進歩とソフトウェアの改良によってコンピュータオセロは着実に力を伸ばしたが、1980年の井上戦から17年間、公の場で人間の世界チャンピオンと対戦する機会はなかった。 a b c d e f g h 1 1 2 2 3 3 4 4 5 5 6 6 7 7 8 8 a b c d e f g h ロジステロ vs. 村上健 第4局(55対9でロジステロの勝ち) 1997年5月、コンピュータチェスのディープ・ブルーがチェス世界チャンピオンのガルリ・カスパロフを破ったその3週間後、NEC北米研究所のマイケル・ブロが開発したオセロ・プログラムのロジステロ (Logistello) と当時の世界チャンピオン・村上健が対戦することが発表された。対戦は同年8月4日から7日にかけて実施され、ロジステロが6番勝負で6勝0敗の成績で勝利し、コンピュータオセロの実力がすでに人間のトッププレイヤーを超えていることを証明した。実際には、それ以前からコンピュータの実力が人間を上回っていたことは明らかであり、村上は「もはや人間が及ぶレベルではありませんでした。負けると思っていました」とロジステロを称えた。なお、この対局は日本オセロ連盟の許可を得ていなかったため、無断で人類を代表して敗北した村上に対する批判の声もあったが、村上はオセロが知的ゲームの歴史に名を残すために必要な敗北であったと主張している。 2005年頃からは、それまでに5度の世界選手権優勝経験のある古豪・為則英司がコンピュータオセロを研究に活用するようになり、世界選手権を連覇。為則によってコンピュータ研究の重要性が知らしめられ、オセロ戦術が大きく進歩した。現在では、多数のプレイヤーが、コンピュータと対決するのではなく、コンピュータを教師として積極的に学んでいる。なお、タイトル戦準優勝経験のある中森弘樹によると、2016年の時点で多くのトッププレイヤーが研究に使用している最強のオセロ・プログラムはエダックス (Edax)である。 このほか、2019年には、コンピュータが人類よりも強いことを逆手にとって、負けることに特化した「最弱オセロ」が公開されて話題になるなど、多様な取り組みが進められている。
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