コンサーティーナの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 23:25 UTC 版)
「コンサーティーナ」の記事における「コンサーティーナの種類」の解説
普通、コンサーティーナと言えば、アングロ・タイプとイングリッシュ・タイプの二種類を指すが、実はそれ以外にもさまざまな種類が存在する。蛇腹楽器の常として、外見は同様の形状の楽器でも、奏法や音色、音楽のフィーリングなどによって、全く別種の楽器になってしまうため、楽器購入や学習にあたっては注意を要する。 コンサーティーナの高級品は職人の手作りであり、奏者の注文に応じてアクシデンタル・キー(増加鍵盤)を追加するなど、一台ごとにきめ細かい改良が施される。世界に数台しかないという稀少タイプのコンサーティーナも存在する(例えば、フラングロ・コンサーティーナ=仏英折衷式、など)。 ここでは、主な種類の紹介にとどめておく。 コンサーティーナは、イギリス起源の押し引き同音式(クロマティック)と、ドイツ起源の押し引き異音式(ダイアトニック)に分かれる。それぞれはさらに、ボタン鍵盤の配列のコンセプトによって分かれる。 押し引き同音式押し引き異音式イングリッシュ デュエット ジャーマン アングロ ケムニッツァ (バンドネオン) 上記のうち、バンドネオンはもともとジャーマン・コンサーティーナの一種だったが、現在はコンサーティーナとは別の独立した楽器として扱われる。またバンドネオンは本来押し引き異音式で、アルゼンチン・タンゴの伴奏者も押し引き異音式のダイアトニック・バンドネオンを好む傾向があるが、一部の演奏者は押し引き同音式のクロマティック・バンドネオンを使う。 コンサーティーナの種類が今も統一されず多様性を保っている理由は、それぞれの種類の方式に一長一短があるためである。例えば、押し引き同音式のほうがシステマチックでやさしいように見えるが、実際に楽器を手に取って弾いてみると一概にそうとも言えない。鳴らせる音が限られるぶん、かえって押し引き異音式のほうが簡単に習得できることも多い。そもそも、楽器と音楽の相性は単純な合理性で決まるものではない。アイリッシュ音楽とアングロ・コンサーティーナの結びつきや、タンゴとバンドネオンの関係のように、外来の蛇腹楽器と現地の音楽が相互に影響を与えあって発展する事例も多い。
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