クラッカーへの報復システム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/25 03:31 UTC 版)
「攻性防壁」の記事における「クラッカーへの報復システム」の解説
実存する情報技術として、コンピュータネットワーク上の侵入者に対して自動的な報復を実行するセキュリティーシステムが登場する可能性がある。2004年3月現在、米テキサス州のベンチャー企業Symbiotは、DoS攻撃やクラッキングに対して「反撃」を行うセキュリティーシステムをリリースする計画を発表する予定であるとされている(米時間2004年3月30日予定)。このシステムのコンセプト名は、「Intelligent Security Infrastructure Management Systems(iSIMS)」。同社の社長Michael W. Erwinは、「企業ネットワークの境界に防衛的な壁を立てるだけでは、適切な抑制力にはならない」として、新ソリューションの優位性を主張している。 しかし、Symbiotの画期的なソリューションには批判の声も多い。情報処理関連アナリスト団体Ovumの主席アナリストであるGraham Titteringtonは、Symbiotのセキュリティーシステムによる「報復」は、それ自体が一つの「攻撃」であり、それは各国の不正アクセスを禁止した法律に抵触するだろうと指摘している。 たとえ法律的な問題が解決されたとしても、クラッカーによる攻撃が、ボットネットによる分散Dos攻撃であった場合、Symbiotのソリューションは役に立たないだろうと指摘する声もある。分散Dos攻撃においては、クラッカーがコンピュータウイルスで操作権を乗っ取った第三者のコンピュータに指示を与え、乗っ取られたコンピュータから一斉攻撃を仕掛けてくる。このような場合、Symbiotのセキュリティシステムが報復する先は犯罪者ではなく、無実の第三者である。分散Dos攻撃の踏み台とされたコンピュータのデータが破壊されるのだ。罪のない第三者に深刻な損害を与えることにもなりかねない。通信関連大手Cable & Wireless社のインシデント対応ディレクターRichard Starnesは、この件について、次のようなたとえ話を述べている。「田舎のおばあちゃんが使っているコンピュータが反撃のターゲットになり、そのなかに入っていた100年来のクッキーのレシピが失われ、しかもバックアップのコピーも残っていないという事態が起こるかもしれない」。Starnesは、Symbiotの攻撃的セキュリティーシステムが実際に開発されたとしても、Cable & Wirelessが導入する予定はないと述べている。
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