キイロショウジョウバエでの概日TTFLの発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/27 15:21 UTC 版)
「マイケル・ロスバッシュ」の記事における「キイロショウジョウバエでの概日TTFLの発見」の解説
1990年、ロスバッシュ、ホール、ハーディンはキイロショウジョウバエの概日振動体におけるperiod遺伝子の役割を特定した。彼らはPERタンパク質の量が明暗周期において変動すること、この変動が恒暗状態で持続することを発見した。同様に、perのmRNAも明暗周期に合わせて周期的に発現していた。ハエの頭部では、perのmRNA量は明期12時間・暗期12時間の周期でも恒暗状態でも変動した。perのmRNAの量は主観で夜の初めにピークに達し、PERタンパク質の量のピークはそれから約6時間後だった。。per遺伝子の変異はperのmRNAの周期に影響した。この実験データから、彼らはPERタンパク質はperのmRNA量を制御する負のフィードバックループに関与しており、この転写翻訳の負のフィードバックループ(TTFL)がキイロショウジョウバエの概日時計の中核だと仮説をたてた。 彼らはまた、period遺伝子の2種類のミスセンス突然変異perSとperL1も調べた。これらの変異は野生型のper+のハエと比較して、前者は活性ピークを早め、後者は遅れさせた。彼らはこの2つの変異でもRNA量が明確に周期性を示すことを発見した。自発運動活性のように、発現ピークはperSで早まり、perL1で遅くなった。彼らはperiod遺伝子の機能を喪失させた変異ハエper0を有効に機能するperのDNA7.2kbで形質転換し、per0遺伝子座と新しい遺伝子座のperのmRNA量を測定した。形質転換の後、perのmRNA量は元の遺伝子座でも新しい遺伝子座でも周期的に変動していた。per0遺伝子座は正常なperのmRNAを翻訳して正常なPERタンパク質を翻訳することができたが、これは導入した7.2kbのperDNAから転写翻訳された有効に機能するPERタンパク質によって周期性が復元されたことを意味する。フィードバックのループが作用しているので、新しい遺伝子座のPERタンパク質量が周期的に変化することで、元からあるper0遺伝子座のmRNA量もフィードバックにより周期的に変動する。1992年、3人はTTFLのメカニズムについてより詳しく調べた。彼らは特にperiod遺伝子のmRNA量変化の調節に関心をもっており、perのmRNA量は転写で制御されていることを発見した。これを支持する証拠として、perのmRNA前駆体と成熟mRNAの周期が一致していること、時間同調因子(英語版)と関連して振動していることがあげられた。他の転写調節の証拠としては、per遺伝子のプロモーターが非相同mRNAに周期性を与えることが十分な証拠となっている。
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